研究課題/領域番号 |
20K15743
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平形 樹生 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40844791)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | piRNA / Yb / T-hairpin / tj / fs(1)Yb / Yb body / cis-regulatory element / 液-液相分離 / cis-element |
研究開始時の研究の概要 |
動物の生殖組織に特異的な小分子RNAであるpiRNAは、転移因子の転移を抑制し、ゲノムの損傷を防ぐ。ショウジョウバエ卵巣の体細胞(OSC)において、piRNAの前駆体はYbタンパク質によって選択される。OSCで転移因子を標的とするpiRNAの多くは、flamと呼ばれる遺伝子間領域に由来する。前駆体の中でもflam RNAは、Ybタンパク質とともに液-液相分離によって細胞質顆粒を形成する。この顆粒形成はflam piRNAの効率的な産生をもたらす。 本研究では、精製Ybタンパク質やOSCを用いてYbと結合するRNAやYbの相分離を促すRNAの特徴を解析し、piRNA前駆体選別機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
動物の生殖組織に特異的な小分子RNAであるpiRNAは、トランスポゾンを抑制し、生殖組織におけるゲノムの正確な継承を支えている。ショウジョウバエの卵巣体細胞では、piRNA前駆体のシス配列がRNA結合タンパク質Ybに認識されることで、piRNAの産生が開始される。しかし、シス配列の特性は不明であった。 本研究では、共同研究によりtj mRNAのシス配列の構造解析を行い、「T-ヘアピン」と名付けた新規構造を持っていることを明らかにした。さらに、この構造がプロセシングの開始において重要であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
piRNAは、自身の塩基配列と相補的な配列を持つ遺伝子の発現を抑制する。従って、piRNA前駆体を正確に選択し、そこから正しい配列のpiRNAを産生することは、有害なトランスポゾンのみを抑制し、生命の維持に必須な遺伝子を妨げないために不可欠である。本研究では、piRNA前駆体の選択において重要な機能を持つcis配列の特徴を世界で初めて明らかにした。 piRNA経路に異常が生じると様々な生物種で不妊となる。一方でトランスポゾンは進化の原動力とされる。piRNA経路の解明は、医療への応用や、生物とトランスポゾンとの関係性を理解するための基盤的知見をもたらす可能性を有している。
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