研究課題/領域番号 |
20K15821
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小田原 瑛美子 (養老瑛美子) 立教大学, 理学部, 助教 (40802054)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | コケ植物 / ヒメツリガネゴケ / 分裂組織 / 転写因子 / 胞子体 / メリステム / NLP / 2倍体 |
研究開始時の研究の概要 |
植物は、1倍体と2倍体の発生プログラムを有し両者が交代する生活環をもつ。基部陸上植物であるコケ植物の2倍体の発生は、有限で1倍体が優占する生活環を示すが、一方で、被子植物の2倍体は無限成長し、2倍体が優占する。この陸上植物の2倍体優占的な生活環への移行の要因の一つに、2倍体世代のメリステムの有限型から無限型への転換が推測される。研究代表者は、被子植物の硝酸応答の鍵となるNLP転写因子のヒメツリガネゴケ相同遺伝子の一つ、PpNLPaが、2倍体メリステムの有限性に関わる可能性を見出した。本研究では、PpNLPaの機能を足がかりとして、コケ植物の2倍体メリステムの有限性を規定する分子基盤の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
陸上植物のうち、初期に分岐したコケ植物は核ゲノムが1セットの1倍体が優占的である一方、被子植物は核ゲノムが2セットの2倍体が優占的である。両者の生活環に占める核相の割合の相違の一因として、2倍体世代の発生を司る分裂組織の性質の相違が挙げられる。コケ植物では、2倍体の分裂組織は有限型である一方、被子植物の2倍体分裂組織は、無限型である。本研究では、既に見出したコケ植物ヒメツリガネゴケの2倍体の分裂組織の有限性を規定する分子、RWP-RK転写因子の機能解析と下流候補遺伝子の同定を実施した。ヒメツリガネゴケの2倍体分裂組織が、細胞分裂を限定的に留めている候補となるいくつかの遺伝学的経路を同定できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
進化学的観点から、コケ植物と被子植物の発生様式や細胞分裂を司る因子の比較解析は多数実施されてきた。しかし、コケ植物では1倍体が生活環の主を占めることから、1倍体を用いた研究が多数である。コケ植物の2倍体の分裂組織の有限性に関わる因子の同定は、本研究が初めてであり、その遺伝学的経路の同定は、コケ植物と被子植物のそれぞれ2倍体同士を比較するという点において重要な学術的意義をもつ。コケ植物の2倍体の発生様式が限定的である分子機構の解明は、被子植物を含む維管束植物が巨大化した一方、コケ植物は比較的小さいままであることなど、陸上植物の発生進化を理解するための鍵となる重要事項の発見につながると期待される。
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