研究課題/領域番号 |
20K15825
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
金澤 建彦 基礎生物学研究所, 細胞動態研究部門, 助教 (60802783)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 膜交通 / 分泌経路 / オルガネラ / 油体 / 細胞骨格 / ゼニゴケ / 分泌 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
真核細胞に存在する単膜系オルガネラへの正確な物質輸送・局在化の仕組みは、「膜交通」と呼ばれ、その基盤となる分子レベルの枠組みは、真核生物に高度に保存されている。一方、真核生物のそれぞれの系統において、独自の膜交通経路の開拓やオルガネラ機能の多様化が報告されている。本課題では、陸上植物における新規オルガネラ獲得とそれに伴う膜交通経路の開拓機構の解明を目指す。ゼニゴケの油体を新規獲得オルガネラのモデルとして、油体への輸送に関わる細胞骨格の役割解析、油体形成過程におけるオルガネラ動態解析、それらを支える分子群の機能解析を行い、オルガネラ新規獲得の再構築の基盤となる知見の獲得を目指す。
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研究成果の概要 |
真核生物の各々の系統において、独自のオルガネラ獲得があったと考えられており、新規オルガネラ獲得に伴った新規膜交通経路の開拓があったと考えられる。本課題では、ゼニゴケの油体を新規獲得オルガネラのモデルとして、油体形成時における膜交通ダイナミクスの解明を目指した。苔類ゼニゴケの油体は、細胞外への輸送経路である分泌経路を細胞内へ方向転換することにより形成されること、単一の転写因子MpERF13によりその形成が制御されることが明らかになった (Kanazawa et al., 2020)。また、油体形成時における微小管の再編成および初期分泌経路が正常な油体発生に重要な役割を担うことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
内膜系オルガネラの進化と多様化は、膜交通の実行因子が遺伝子重複とその後の変異の蓄積を繰り返すことで機能分化および新規機能獲得を果たし、新規内膜系オルガネラの誕生に繋がったというオルガネラ・パラロジー仮説が提唱されている。本研究成果により、陸上植物の細胞質分裂時の「細胞板」とコケ植物苔類の「油体」が、共通の膜交通経路の転用により形成されており、パラロガスなオルガネラであることを示した。上述の仮説を実験的な証拠を持って強く支持しており、内膜系オルがネラの新規獲得原理の理解に向けた基礎生物学的な重要な知見が得られた。また、油体形成の仕組みの理解は、有用特化代謝産物の効率的な産生への貢献も期待される。
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