研究課題/領域番号 |
20K15869
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
栗田 隆気 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00738841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 東南アジア / 有鱗目 / 種多様性 / 種分化 / 分類学 / ボルネオ島 / マレーシア / トカゲ / 分類 / 標高 / 地質 / 胎生 / correlated evolution / 爬虫類 / 系統地理 / 熱帯 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの分類群では種多様性が低緯度地域で高く,高緯度地域で低くなる傾向を示す.このような種多様性の緯度勾配に関する仮説の多くは「熱帯では高緯度地域に比べ環境が安定して安定している」ことを前提にしている.その一方で,地球史上における全球規模の気候の変化は,熱帯に分布する生物にもなんらかの影響を与えたはずだが,種多様性を低下させたのか,もしくは予想に反して種多様性を上昇させたのか,未解明の点が多く残されている. 本研究では,熱帯の低地と山地に生息するトカゲ類をモデルとして,過去の気候変動が,熱帯の高標高地の環境に適応したグループの集団サイズの増大や続く異所的分化を引き起こした可能性を検討する.
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研究成果の概要 |
本研究の結果,アガマ科トビトカゲ亜科のトカゲ類において,樹上性の種の繁殖様式の進化,すなわち卵生から胎生への進化は生息環境と行動に影響を受けて生じたことが明らかになった.高標高の山地にのみ生息する複数の種を含む同亜科のPelturagonia 属について 形態および遺伝的分析の結果,9 系統を確認し,うち 4 系統が未記載種と推定された.さらに,高標高に生息するP. cephalumについてドラフトゲノムを構築した.また,ヤモリ科のCnemaspis 属では11系統を確認し,うち4系統が未記載だと考えられた.さらに,本属では生息基質の違いが種分化に関与した可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
熱帯地域には高い種多様性を維持しながらも,その存続が危ぶまれている生物多様性ホットスポットが多く存在するが,その形成過程には不明な点が多い.本研究では,ボルネオ島の山地性トカゲ類を対象に種分化や集団動態を研究し,生息微環境の変化が種分化に関与してきた可能性を示した.また,未記載種の発見は熱帯地域の生物多様性の実態解明に寄与する.さらに,トカゲ類の繁殖様式の進化に関する知見は,生物の適応進化のメカニズム理解につながる.本研究の成果は熱帯地域における生物多様性の進化的形成過程の理解を深め,生物進化や種多様性研究の発展に貢献するものである.
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