研究課題/領域番号 |
20K15895
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
毛内 拡 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90708413)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | アストロサイト / 大脳皮質 / 光血栓法 / マウス / アドレナリン受容体 / ミクログリア / アクアポリン4 / 細胞間質液 / 脳脊髄液 / 脳梗塞 |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞は、脳血流のみならず脳脊髄液(髄液)の流れも停滞させる。 これまで申請者らは、健康状態にあるマウス脳で、髄液の流れを生み出す機序に、脳の水チャネル分子であるアクアポリン4(AQP4)が関与することを報告してきた。一方、脳梗塞発生後1~2時間にはAQP4の標識が減少し始め、髄液の流れが滞留し損傷が拡大することを明らかにしてきた。しかしながら、脳梗塞によってAQP4の標識が減少する詳細な分子機序は解明されていない。 本研究では、脳梗塞の超急性期におけるAQP4分子の標識の変化が、接着タンパク質の分解による「非局在化」によって引き起こされると仮定し、生化学的手法を用いて明らかにする。
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研究成果の概要 |
マウスを用いた研究から、脳梗塞3時間後、脳の水チャネル分子であるアクアポリン4が血管内皮から細胞体へ移行する様子(非局在化)を観察した。一方、アドレナリン受容体を阻害した場合は、非局在化はみられなかった。さらに、脳表に直接、アドレナリン受容体を作動する薬を添加することによって、3時間後に有意なアクアポリン4の非局在化を引き起こした。この際、脳の炎症性マーカーであるグリア線維性酸性タンパク質には顕著な変化は生じなかったが、ミクログリアのマーカーであるIba-1の発現が亢進し、ミクログリアの形態も顕著に変化した。この結果は、脳梗塞後のAQP4の非局在化にミクログリアが関与する可能性を示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳脊髄液と間質液の交換は、正常な脳内環境を維持するのに重要な役割を果たしており、脳梗塞をはじめとする脳血管障害やアルツハイマー病に代表される神経変性疾患との関わりが示唆されています。また、アクアポリン4は、脳脊髄液と間質液の交換の駆動力として働く分子として注目されています。私達の研究成果が今後、脳梗塞やアルツハイマー病のメカニズムの更なる理解や、ひいては治療法の開発に貢献していくことが期待されます。
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