研究課題/領域番号 |
20K15902
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
万谷 洋平 神戸大学, 農学研究科, 助教 (30724984)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 腸管神経系 / 電子顕微鏡 / 組織学 / 腸管 / 腸内細菌 / SBF-SEM / 発生 |
研究開始時の研究の概要 |
腸管には「第2の脳」とも呼ばれる自律神経系―腸管神経系が備わり、粘膜内には複雑な神経ネットワークが発達しているが、その投射先や機能には不明な点が多い。本研究では、組織構造を電子顕微鏡レベルで三次元的に解析できるserial block-face走査型電子顕微鏡などのイメージング技術を駆使し、小腸粘膜内の神経ネットワークが発生過程でどのように形成されるのか?最終的にどのようなネットワーク構造が形成されるのかを明らかにする。本研究を完遂することにより、将来的には粘膜内における神経ネットワークの形成・維持機構の解明、神経―粘膜内細胞の双方向的な機能の解明が可能となる。
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研究成果の概要 |
本研究では,serial block face走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)を駆使した組織学的解析により,小腸および大腸粘膜内神経ネットワーク構造の特徴やその形成過程についての成果を得ることができた。小腸の粘膜内神経ネットワークを解析した結果,腸絨毛頂部では複雑に分岐する神経ネットワーク構造が形成されることが示された。神経線維の接触する細胞種を定量すると,腸絨毛頂部において線維芽細胞様細胞(FBLC) type III,FBLC type IV,マクロファージ様細胞への接触が豊富に観察された。また大腸の解析も実施することで,腸管各部位の粘膜内神経ネットワーク構造の特徴の部位差も解明できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腸管神経系(ENS)は,腸管内の生理機能を調節する極めて重要な神経系である。本研究では,腸管粘膜内の神経ネットワーク構造について,三次元電子顕微鏡技術を用いることで緻密に明らかにすることができた。その結果,粘膜内神経ネットワークは,とくに一部の細胞種と頻繁に物理的に接触することが示された。従来ENSは傍分泌を介して拡散性に神経支配するとされているが,本結果はENSが物理的な接触を介した新たな神経支配も有する可能性を示している。その支配様式や,支配細胞を今後詳細に調べることにより,腸管粘膜内神経の役割解明がさらに進み,ENSの関与が疑われる腸疾患の病態解明や治療戦略につながることも期待できる。
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