研究課題/領域番号 |
20K15903
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥村 美紗子 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (40806486)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 線虫 / Pristionchus pacificus / 光忌避行動 / 光受容体 / 順遺伝学的スクリーニング / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
光の感知は生命の維持に重要であり,動物では主にロドプシンが光受容体として機能している.しかし線形動物(線虫)はロドプシンを持たないが光を感知することができ,他の動物とは異なる光感知システムをもつと考えられる.本研究では光感知能を有する線虫Pristionchus pacificusにおいて順遺伝学的スクリーニングや遺伝学ツールを用いることによって,動物界における新規光受容体を同定し,光感知の分子・神経制御機構の解明を目指す.本研究による新規光受容体の同定は,新しい光遺伝学的ツールの開発や,光感知の多様性や進化について重要な知見を与えうる.
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研究成果の概要 |
線形動物であるPristionchus pacificusは目を持っておらず,既知の光受容体もゲノム上に存在しないが,光に応答し忌避行動を示す.本研究では,線虫P. pacificusがどのように光を感知しているか明らかにすることを目指した.これまでに,光忌避行動のアッセイ系を確立し,P. pacificusは短波長の光に対して忌避行動を示すことを明らかにした.順遺伝学的スクリーニングを行い,光忌避行動を示さない変異体を6系統単離し,5系統の変異体について原因遺伝子を同定した.さらに,光感知細胞の候補を見出し,今後それらの細胞が光感知に関わるか確認し,光感知の分子・神経機構の全貌解明を目指す.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって新規光受容体を同定することは,動物の光感知の考え方を大きく転換させる可能性を秘める.本研究で同定する光受容体は線虫以外の動物にも保存されている可能性があり,光による新たな生理機能制御の解明につながると考えている.一方,本研究で同定する光受容体は線虫でのみ保存されている可能性もあるが,新しい特性をもつ光受容体の同定は,チャネルロドプシンのような新しい光遺伝学的手法の開発にもつながる.本研究によりP. pacificusを用いて光感知の分子基盤を明らかにすることは,線虫における光感知機構の解明だけでなく,動物における新たな光受容体の発見や,光受容体の進化の解明に重要な知見を与えうる.
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