研究課題/領域番号 |
20K15991
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
石本 尚大 金沢大学, 薬学系, 助教 (00843062)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 記憶学習 / 網羅的トランスクリプトーム解析 / 海馬歯状回特異的遺伝子発現抑制 / 神経突起伸長 / 海馬 / RNA-seq解析 / 神経新生 |
研究開始時の研究の概要 |
未知のメカニズムで認知機能を向上するアミノ酸ergothioneine (ERGO)の作用機序を解明する。この解明は、記憶学習能力向上の新規標的の発見や認知症予防・治療への応用につながる。ERGO経口投与により記憶学習能力が向上したマウスの海馬歯状回(DG)において網羅的トランスクリプトーム解析を行い発現変動する遺伝子を多数見出し、培養神経細胞における候補遺伝子の発現抑制により神経突起の伸長が促進される遺伝子を選択する。さらに、マウスにおいてアデノ随伴ウイルスによる候補遺伝子のDG特異的発現抑制を行い、各種行動試験、組織形態学的解析、メタボローム解析により新規の記憶学習制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、食物由来アミノ酸ergothioneine (ERGO)のマウスへの投与により、行動試験で記憶学習能力の向上が認められたマウスの海馬における網羅的トランスクリプトーム解析により記憶に関連する候補遺伝子を複数見出した。本研究期間ではさらに、見出された分子の、ヒトにおける認知機能向上を反映する血中バイオマーカーとしての可能性についても検討を加え、ヒトにおいてもマウスと同様のメカニズムが起こり得ることを考察した。そこで、血液中に含まれる脳内環境を反映する脳由来細胞外小胞(EVs)における候補分子の発現プロファイルを評価することで、ヒト脳機能を推測できる可能性を考えた。検体は、ERGOの認知機能改善効果を確認した臨床試験における被験者の血清を用いた。超遠心分離法によりEVsを単離し、Western blottingによりEVsマーカーCD63および脳由来EVsマーカーSNAP25を検出し、脳由来EVsが含まれることを確かめた。本研究課題において見出された候補分子のうち、ある候補遺伝子の産物であるタンパク質Yに着目し、発現量を評価したところ、偽薬群と比較して血清中EVsにおけるタンパク質Yの発現量は有意に高かった。さらには、EVs中のタンパク質Yの発現量は、血清中ERGO濃度および認知機能評価試験の一部の評価項目と正の相関を示し、ERGOによるヒトの認知機能改善において、タンパク質Yが関与する可能性、またEVsにおけるタンパク質YがERGOによる認知機能改善の薬効バイオマーカーとなり得る可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ERGO経口投与で記憶学習能力の向上を示したマウスの海馬における網羅的トランスクリプトーム解析により記憶に関連する複数の候補遺伝子を見出した。その遺伝子に対するsiRNAを培養神経細胞に導入すると、神経突起の伸長が促進される遺伝子を複数見出した。さらにその遺伝子の中から、ある膜輸送体をコードする遺伝子Xに着目し、以下の解析を実施した。遺伝子X に対するAAV-shRNA-Zsgreen1の海馬歯状回への注入により脳部位特異的な遺伝子発現抑制を行い、緑色蛍光陽性の神経細胞の突起の長さを測ると、対照群と比較し遺伝子Xに対するAAV-shRNA-Zsgreen1感染群で、神経突起の長さが有意に長くなり、さらに新奇物体認識試験により物体認知記憶の向上傾向が認められた。さらには、臨床試験におけるERGO含有錠摂取による認知機能改善効果と見出された候補遺伝子の産物タンパク質YのEVsにおける発現量が正の相関を示し、ERGOによる認知機能改善においてタンパク質Yが関与する可能性、またEVsにおけるタンパク質YがERGOによる認知機能改善の薬効バイオマーカーとなり得る可能性を示唆した。
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今後の研究の推進方策 |
ERGO投与により記憶学習能力の向上が認められたマウスの海馬における網羅的トランスクリプトーム解析により見出された記憶に関連する他の候補遺伝子の解析を上記と同様、細胞、マウス、ヒト検体を用い検討する。さらに発展として、本研究課題で見出されたERGOによる認知機能改善のバイオマーカーとしての妥当性を、アルツハイマー病モデルマウスを用いて、行動、脳内の発現量、血清中EVsにおける発現量の相関を分析することで検討する。
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