研究課題/領域番号 |
20K15999
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 融 日本大学, 薬学部, 専任講師 (30823702)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | KANSL1 / タウ / 核酸医薬 / アルツハイマー病 / 翻訳調節 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の原因の中でも特に多いアルツハイマー病は、脳の神経細胞内に存在するタウタンパク質が、神経細胞の樹状突起と呼ばれる部分に蓄積・凝集し、神経細胞にダメージを与えることによって発症する。我々はこれまでに、樹状突起へ輸送されたタウmRNAの局所的な翻訳によって生じたタウタンパク質が、この過程に深く関与することを報告している。本研究では、アルツハイマー病の治療薬開発を目指し、タウの樹状突起蓄積・凝集機構の解析を進める中で新たに見出したKANSL1 mRNAの新奇スプライスバリアントに着目して、この機構のさらなる解明と核酸を用いた特異的な阻害薬の探索を行う。
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研究実績の概要 |
tKANSL1 mRNAはtau mRNAの3’-UTRと相補的な配列をもつ、従来のKASL1 mRNAとは異なる新奇スプライスバリアントである。本研究課題では、アルツハイマー病の発症に深く関わる樹状突起内過剰リン酸化tauの発現および蓄積において、tau mRNAの翻訳調節や細胞内分布に対するtKANSL1 mRNAの役割という観点から解析を行い、さらにtau mRNAとtKANSL1 mRNAとの相互作用を阻害する核酸医薬の探索を行ってきた。 令和2年度~3年度では、tKANSL1 mRNA発現ベクターやtau mRNA発現ベクターなどの構築およびそれらベクターを用いた株化細胞におけるtKANSL1 mRNAの解析を行った。解析の結果、tKANSL1 mRNAによってtau mRNAの翻訳活性が増加することが明らかとなり、その成果を第44回 日本分子生物学会年会で発表した。また、樹状突起内過剰リン酸化tauの発現に対して、樹状突起内CDK5 mRNAの神経刺激に応じた局所翻訳および活性化が関与することが見いだされ、その成果を海外の学術誌BBAで報告した。 令和4年度~5年度では、株化細胞を用いた解析に加えて神経細胞を用いた解析を行い、神経刺激に応じてtau mRNAの翻訳活性化と共にtKANSL1 mRNAの翻訳が活性化していることが明らかになった。さらにtau mRNAとtKANSL1 mRNAの相互作用を阻害するASOを探索し、複数のASOを組み合わせることにより阻害効果を発現できることを見出した。これらの成果は第46回 日本分子生物学会年会で発表した。また、高リン酸化tauの凝集機構に関する成果について、第45回, 47回 日本分子生物学会年会および日本薬学 第143年会, 144年会で報告した。
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