研究課題/領域番号 |
20K16106
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 福井大学 (2022) 山梨大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
久冨 理 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (60773728)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脳脊髄液 / くも膜顆粒 / リンパ管内皮細胞 / リンパ系 / 超微細形態解析 / 脳髄膜 / 中枢神経系リンパ系 / 髄膜リンパ管 / トレーサー実験 / ブタ・ウサギ |
研究開始時の研究の概要 |
脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)は、中枢神経系の恒常性維持に必須の成分であることが知られている。CSFが中枢神経系から末梢組織へ吸収される経路については、これまでにいくつかの仮説が提唱されているものの、どの吸収路が生理的に機能しているかは不明なままである。本研究では、解剖学的・生理学的・発生学的にヒトと共通点が多いブタ、ウサギを用いて、CSF吸収路とされる各組織の形態・機能を解析するとともに、新たなCSF吸収路の探索を行うことで、CSF吸収路の全貌解明を目指す。本研究の発展は、中枢神経系における様々な疾患の予防や治療にも新たな視点や標的を提示するものと期待される。
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研究成果の概要 |
脳脊髄液(Cerebrospinal fluid: CSF)は、中枢神経系の恒常性維持に必須の成分である。くも膜顆粒はCSF吸収路として機能すると古くから考えられているが、その形態的特徴は未だ不明な点が多い。本研究は、臨床検体より採取したヒトくも膜顆粒の超微細形態解析を行った。解析の結果、ヒトくも膜顆粒においてリンパ管内皮細胞の構成分子が存在していること、くも膜顆粒周辺の脳硬膜において、くも膜下腔と上矢状静脈洞を連絡するギャップ領域が観察され、ヒトくも膜顆粒の新たな形態的特徴を見出すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最近の研究により、髄膜リンパ管や脳皮質の血管周囲腔(glymphatic system)など、中枢神経系のリンパ系がCSF経路を担うという説が主流になりつつある。このような背景のなか、上記の研究成果は、くも膜顆粒もリンパ系としてCSF吸収に機能する可能性を示唆するものである。また、本研究で観察されたヒトくも膜顆粒の形態的特徴は、以前に我々がブタ脳髄膜で見出した形態的特徴と類似していることから、この形態は進化的に保存されている可能性が示された。さらに本研究で得られた知見は、水頭症や脳脊髄液漏出症など、CSF循環機構の破綻と関連する疾患の発症機序の理解や診断/治療の応用にもつながると期待される。
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