研究課題
若手研究
精子は次世代にオス側の遺伝情報を伝えるという重要な役割を持っており,正しくメス側の配偶子と接合するためには,雌性生殖器を通過し,卵母細胞まで到達する必要がある。精子の中片部と呼ばれる部位にはミトコンドリア鞘と呼ばれる精緻でユニークな構造が存在するが,どのような分子メカニズムによってこの構造が形成されているのかは明らかになっていない。本研究ではミトコンドリア鞘形成に異常が認められるSmdr3及びSmdr5 KOマウスの解析により,これらの因子がミトコンドリア鞘形成においてどのような分子メカニズムで関わっているのかを明らかにする。
欠損させると精子のミトコンドリア鞘形態に異常が生じる,TsksおよびSmdr5 KOマウスを用いて研究をおこなった。TSKSはミトコンドリアとは独立したnuageに局在し,このnuageがTSKS欠損により消滅すると,spermiationの段階で精子から細胞質が除去できなくなることが明らかになった。つまりTSKSは精巣特異的に生じるnuageに局在し,精子が精巣から放出されるspermiationの際に細胞質を除去する働きをしていることが明らかになった。またSmdr5欠損マウスでは精子ミトコンドリアの内膜構造に異常が生じることを明らかにした。
ヒトでは精子に過剰な細胞質が付着したまま放出されるExcess residual cytoplasmと呼ばれる疾患が存在し,そのため不妊症となる患者が存在する。本研究ではTSKSの機能を明らかにし,TSKSおよびTSKSによって誘導されるTSKS由来nuageが精子から細胞質を除去する上で必須であり,これらのおかげで精子がスリムな流線型を示し,適切な運動性を得られることを明らかにした。本研究を足がかりに不妊症に関する新たな知見が蓄積し,ひいては不妊症治療や男性避妊薬の開発につながることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 11件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 17件) 学会発表 (3件)
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