研究課題/領域番号 |
20K16136
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
神林 隆一 東邦大学, 医学部, 助教 (70837492)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 重水素化 / 抗不整脈薬 / 心房細動 / 病態モデル / QT延長 / 心室不整脈 / 心房有効不応期 / 心室再分極 / 心血管 |
研究開始時の研究の概要 |
抗不整脈薬dronedaroneは、心房細動に対し高い有効性を示す一方で、心不全および致死性心室不整脈といった有害作用のリスクを増加させることからその安全性には課題が残る。本研究では、dronedaroneの有害作用を減弱させるための手段として、薬物の薬理学的特性を変化させ得る重水素化に着目した。しかしながら、重水素化がdronedaroneの心血管系に対する多様な薬理作用に及ぼす影響を十分には解明できていない。そこで、臨床予測性が高く、薬物の循環薬理作用を多角的に評価可能であるin vivoモデルを用いて、重水素化がdronedaroneの循環薬理作用に与える影響を解明する。
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研究成果の概要 |
Dronedarone重水素化誘導体poyendaroneの循環薬理作用をイヌ心房細動モデルにより評価し、dronedaroneの結果と比較することで、重水素化がその作用に及ぼす影響を検討した。重水素化は心房細動発生時に見られる高い興奮頻度における心房有効不応期延長作用を亢進させ、発作性心房細動に対する抑制効果を増強する可能性を示した。一方、重水素化は持続性心房細動に対する停止効果に影響を与えないが、QT延長を伴う心室不整脈の誘発リスクを低減することを明らかにした。Poyendaroneはdronedaroneと比較し、より有効かつ安全な新規心房細動治療薬として臨床応用可能であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心房細動の治療に使用される既存の抗不整脈薬は、心房組織への選択性または心房細動の病態に対する特異性が低く、心室組織に対しても電気生理学的作用を示し、致死性心室不整脈を誘発する可能性がある。本研究は、その有害作用を減弱する手段として重水素化に着目し、重水素化は抗不整脈薬の心房細動に対する有効性を増強し、心室不整脈の誘発リスクを減弱することを示した。それゆえ、重水素化が抗不整脈薬の循環薬理作用を修飾する上で有益な手段となる可能性を見出した。既存薬dronedaroneの重水素化誘導体poyendaroneは、より有効かつ安全な治療薬として心房細動患者の薬物治療に貢献できると考える。
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