研究課題/領域番号 |
20K16191
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
六反 啓文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00782559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 充実性増殖 / SWI/SNF / p53 / 遺伝子増幅 / リンパ節転移 / FISH / 分子サブタイプ / 胃癌 / 低分化腺癌 / por1 / RNAシークエンス / MLH1 / ゲノム解析 / 治療標的分子 / マイクロサテライト不安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
胃の充実型低分化腺癌(por1)は、充実性増殖をする胃癌の一亜型であり、胃癌の約16%を占める。既存の分類におけるpor1胃癌の位置づけには議論の余地があり、また、詳細に観察すると病理組織像に多様性もある。本研究では、por1胃癌のうちp53異常やマイクロサテライト不安定性といった既知の異常をもたない「分子サブタイプ不明群」に特に焦点を当て、治療標的を含めた新規ゲノム異常の同定と、頻度の高いゲノム異常、発現プロファイルの解明を進める。更に、por1胃癌として括られる症例全体を、病理像・ゲノム異常の観点から統合的に理解することで、海外の病理医・研究者とも共有できる疾患概念の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
胃の充実型低分化腺癌(por1)は、充実性・胞巣状の増殖を主体とする腺腔形成に乏しい胃癌の一亜型である。本亜型のなかで悪性度の高い症例の分子遺伝学的特徴は不明であったが、免疫染色およびゲノム解析を通して、腫瘍の悪性度とp53異常との関連が示された。また一部症例では、充実性成分の範囲に一致してSWI/SNF複合体構成要素の発現低下がみられたため、本亜型に特徴的な充実性増殖パターンがSWI/SNF経路の異常により規定されている可能性が示唆された。更に、本亜型に比較的高頻度にみられる遺伝子増幅が抽出された。以上のように、por1胃癌の悪性度や形態学的変化に関連する分子遺伝学的異常の一端が解明された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胃の充実型低分化腺癌(por1)は、充実性・胞巣状の増殖を主体とする腺腔形成に乏しい胃癌の一亜型である。本亜型のなかで悪性度の高い症例の分子遺伝学的特徴は今まで不明であったが、本研究によって一部が解明された。比較的低コストで決定できる分子サブタイプの情報を活用することによって、本亜型に該当する胃癌を外科的に切除した後に層別化してフォローアップできる可能性がある。また、胃以外の臓器においても充実型増殖を示す癌が発生することから、他臓器のそうした癌を研究する際にSWI/SNF経路に着眼することの重要性を示唆するものである。
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