研究課題
若手研究
ヒトiPS細胞由来の3D心筋組織を用いた心疾患メカニズムの解明および創薬研究への応用が期待されているが、その成熟度不足による病態再現性の低さが問題となっている。本研究では初めに、申請者らが見出したヒトiPS細胞由来心筋細胞を成熟化させる新規な低分子化合物と様々な方法を用いて3D心筋組織の成熟化法の開発を行う。次に同法により肥大型心筋症(HCM)モデルの構築および評価を行う。このように病態再現性の高い3D心筋組織HCMモデルを作製した後、オミクス解析等によりHCMモデルで変動が見られた分子を同定し、精査することで、未だ明らかとなっていないHCMの発症機序を明らかにすることを目的とする。
肥大型心筋症 (HCM) は心筋細胞の異常な肥大を呈する疾患であり、遺伝子変異が原因とされているが、その作用機序は不明である。申請者はiPS細胞由来3D心筋組織を成熟化させることで適切なモデルを作製し、それにより作用機序を解明することを目的とし、ERRgamma agonistと伸張培養により3心筋組織を成熟化させた。さらに、その方法により、MYH7 R719QとMYBPC3 G115*変異を有する3D心筋組織でHCMの表現系が顕在化された。またRNA-seqによりHCMで亢進するシグナル伝達経路を複数同定し、そのうちの一つを阻害する化合物により細胞の肥大を抑制する子ができた。
肥大型心筋症 (HCM) はサルコメア関連遺伝子上の遺伝子変異が原因とされているが、その作用機序は不明であり、有用な治療法はない。そのため、本研究により、試験管内でHCMモデルを構築できたことは解析の簡便さを向上させることで、作用機序の解析を容易にし、また治療薬候補の評価にもつながるものである学術的に価値のある成果である。また本モデルにより、HCMに関与するシグナル伝達経路を同定できたことはHCMの疾患理解につながる社会的意義の大きい研究成果である。
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Stem Cell Reports
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Methods Mol Biol
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