研究課題/領域番号 |
20K16245
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
沖 大也 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (30845285)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 腸管病原体 / IV型線毛 / マイナーピリン / 定着因子 / コレラ菌 / 可溶性定着因子 / セクレチン / 分泌タンパク質 / 腸管系病原菌 |
研究開始時の研究の概要 |
コレラ菌を含む多くの腸管系病原菌は、汚染水を介して腸管内に侵入すると、線毛と呼ばれる糸状の巨大構造物を菌体表面上に形成するとともに、分泌タンパク質を菌体外へ産生し、両者が協働することで、腸管への定着を達成している。この定着過程はヒトへの感染過程において最も重要なステップであり、定着が成立しなければ病原性を発現することはできない。本研究では、コレラ菌などのIV型線毛形成菌が、如何にしてIV型線毛システムを駆使し、定着の要となる分泌タンパク質を菌体外に産生しているのかを明らかとする。さらに構造・相互作用情報から分泌過程の阻害剤を設計することで、抗生物質に替わる全く新規の感染阻害剤の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
コレラ菌の感染において、ヒトの腸内へのコロニー形成は最も重要なステップである。コロニー形成には、IV型線毛であるTCPだけでなく菌体外に分泌されるタンパク質TcpFを必要とするが、TcpFの分泌機構は不明であった。私は、相互作用解析によって、TcpFがTCPの先端部に存在するマイナーピリンTcpBと結合することを明らかにした。また、結晶構造解析の結果、TcpFのN末端領域がTcpBに結合し、TCPの伸長にともなって菌体外に分泌されることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
コレラはヒトの腸管にコロニー形成し、激しい下痢症を引き起こす疾患であり、発展途上国を中心に甚大な被害を出している。今回、コレラ菌の病原性に重要なTCPと呼ばれる糸状構造物の機能の一端が解明された。TCPは、コレラ菌のコロニー形成に重要となる花弁のようなかたちの定着因子3分子と結合し、菌の外へ輸送する仕組みを結晶構造解析法により解明した。今回の研究成果から、定着因子の分泌を阻害し、コレラ菌の腸内でのコロニー形成を阻害するような薬剤の開発が可能になることが期待される。
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