研究課題
若手研究
T細胞は獲得免疫反応に必須のリンパ球である。申請者は最近、CD4 T細胞の一分画に「メモリー表現型(MP)細胞」を同定し、抗原認識非依存的かつサイトカイン依存的に感染防御に寄与するという極めて特異な自然免疫機能を発見した。MP細胞は自己抗原認識依存的にナイーブ前駆細胞より産生されることから、同細胞はある種の炎症環境下等において自己免疫疾患を誘発する可能性がある。そこで本研究では、MP細胞の産生・維持・分化・活性化機構を明らかにするとともに、同細胞による自己免疫疾患発症機構を解明する。本研究により、これまで難病とされてきた自己免疫疾患の病態解明や根治的治療法の確立が期待される。
CD4 T細胞は外来抗原特異的獲得免疫応答における司令塔としての役割を果たすリンパ球であるが、申請者はこの細胞中に、自己抗原認識依存的に産生され病原体感染時には自然免疫機能を発揮しうる新規「MP細胞」を同定した。本研究ではこれに基き、MP細胞の質的特異性や感染防御機能、さらには自己免疫疾患惹起能を解明することを目的とした。研究の結果、MP細胞は抗原特異的メモリーT細胞とは異なる特有の表現型を有し、定常状態下においてTh1様の「MP1」分画を多く含むことが分かった。MP1の分化機構や機能、炎症惹起能も明らかになりつつある。すなわち、本研究によりMP細胞の特性の一端が明らかになった。
従来、T細胞は外来抗原特異的獲得免疫応答にのみ寄与するものとされてきたが、本研究により、その一部の細胞集団「MP細胞」が自然免疫的様式にて感染防御に寄与することが明らかになった。本研究成果は、従来の古典的T細胞免疫学の理解に一石を投じるものである。今後、MP細胞の自然免疫機能や炎症惹起能を細胞・分子レベルで解明することにより、新規抗感染症治療戦略の提唱や自己免疫・炎症性疾患に対する根治的治療法の創出にも結び付くものと期待される。
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