研究課題/領域番号 |
20K16280
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
榛葉 旭恒 京都大学, 医学研究科, 助教 (30812242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | レニン / ヘルパーT細胞 / 炎症性腸疾患 / 精神的ストレス / TH17細胞 / 大腸炎 |
研究開始時の研究の概要 |
精神的ストレスはインターロイキン17産生型ヘルパーT細胞(TH17細胞)の働きを介して炎症性腸疾患を誘引すると考えられているが、その機構は明らかではない。申請者はストレス感知により腎臓から産生されるプロレニンの受容体(PRR)がTH17細胞で発現することに着目し、PRRがTH17細胞の発生を促進すること、ストレスと免疫応答が腸管のTH17細胞を増加させることを見出した。そこで本研究は、PRRがTH17細胞の分化や維持、働きを促進する分子機構と、ストレス時に産生されるプロレニンがTH17細胞を介して炎症性腸疾患の発症と増悪に寄与する可能性を、PRR遺伝子破壊マウスを用いた解析から明らかにする。
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研究成果の概要 |
血圧を制御するプロレニンは細胞膜上に存在するプロレニン受容体に結合する。プロレニン受容体は、免疫細胞系にも広く発現するが、そのシグナル伝達や機能については不明である。ストレスはレニンを介してリンパ球の機能を制御すると考え、リンパ球特異的なプロレニン受容体欠損マウスを解析した。 その結果、プロレニン受容体欠損マウスでは様々なリンパ球の数が著減することや、レニンにシグナルによってTh1細胞やTh17細胞が増加することを見出した。以上から、炎症性腸疾患を増悪する細胞集団の発生を促進する可能性があることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血圧を調整するレニンは細胞膜上の存在するプロレニン受容体に結合するが、受容体を発現する免疫細胞にどのような機能があるか、またシグナルを伝達し得るかこれまで不明であった。本研究から、レニンがアンジオテンシン経路を活性化するだけでなく、リンパ球の恒常性維持に寄与し、1型免疫応答や17型免疫応答を制御することで、癌やウイルスの排除に効果を持つ一方で炎症性腸疾患の誘導に関わる可能性を見出した。これ結果から、血圧調整と免疫系が同時に制御される機構を発見することが期待され、高血圧と同時に起こり得る炎症性疾患発症の理解と治療に貢献する。
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