研究課題/領域番号 |
20K16296
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西澤 弘成 東北大学, 医学系研究科, 学術研究員 (30846655)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | フェロトーシス / BACH2 / NOTCH遺伝子 / 悪性リンパ腫 / 小細胞肺癌 / BACH1 / 細胞死伝播 / 線維芽細胞 / 血液腫瘍 / Notch / フェロトーシス伝播現象 / 転写因子 / Notchシグナル / 鉄依存性細胞死 / Bach因子 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性度の高い癌腫である小細胞肺癌は、新規治療標的の開発の遅れが問題である。本研究では、小細胞肺癌が血液腫瘍と類似するという特徴に加え、小細胞肺癌の発癌機序が Notchシグナルの抑制にあることを考え合わせた、新規の方法で治療標的の発掘を試みる。一方、申請者は転写因子BACHがNotch遺伝子の転写を抑制する可能性を見出した。BACH因子は鉄依存性の細胞死[フェロトーシス]を促進する。そこで、BACH因子がNotch遺伝子の転写を抑制して小細胞肺癌の形質発現に関わる可能性を検討する。そして、BACH因子の発現量を フェロトーシス誘導剤への感受性の指標とした治療法の開発を目指す。
|
研究成果の概要 |
悪性リンパ腫の予後因子と、NOTCH遺伝子の転写を制御する転写因子との重複の観点から、小細胞肺癌の新規標的因子を抽出するのが本研究の大きな目的であったが、当初期待されたほどの有力な治療標的は発掘できなかった。しかし、悪性リンパ腫の予後因子であるBACH2が、限定的ではあるものの、ヒト肺癌細胞株において、NOTCHの転写を抑制する可能性が示唆された。この点は、将来、さらに追求したい。 並行して、鉄依存性細胞死フェロトーシスの制御因子も探索し、BACH2がフェロトーシスを促進することを発見するとともに、フェロトーシスが細胞間で伝播すること、BACH1の再発現でフェロトーシスが起きることも報告した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フェロトーシスは生体内でがん抑制機構として働くことが分かっており、血液腫瘍や小細胞肺癌を含め、悪性腫瘍への新規治療手段として注目されている。本研究によって、悪性リンパ腫の予後因子であるBACH2がフェロトーシスを制御することが示唆されたのは、フェロトーシス研究において重要な発見だと考えられる。加えて、フェロトーシスの細胞間伝播現象とBACH2のFamily因子であるBACH1の再発現によるフェロトーシスモデル機構を発見したことで、将来的に、腫瘍内で線維芽細胞や免疫細胞でBACH1を再発現させてフェロトーシスを引き起こし腫瘍内へ伝播させるという細胞療法の開発に繋げられる可能性がある。
|