骨肉腫におけるタンパク糖鎖修飾メカニズムの解明による新規治療法の開発

• 研究課題/領域番号: 20K16325
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分50010:腫瘍生物学関連
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 加登 翔太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70868257)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2022-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2021年度)
• 配分額: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円); 2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円); 2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
• キーワード: 骨肉腫 / 糖鎖修飾 / 発現解析 / 糖鎖 / 翻訳後修飾

研究開始時の研究の概要

本研究では、糖鎖修飾関連遺伝子が腫瘍細胞内増殖シグナルの安定化をもたらす作用に着目し、網羅的リン酸化解析および発現解析を用いて、同遺伝子がどのように骨肉腫の悪性化・不死化をもたらすのかを解明する。さらに、その経路を阻害する薬剤の効果を培養細胞および動物実験により検証することにより、治療への応用を図る。最終的に、骨肉腫の画期的な新規治療法を確立し、疾患予後の改善に寄与することを目的とする。

研究成果の概要

骨肉腫細胞内で生じる翻訳後タンパク糖鎖修飾が、腫瘍細胞の生存および増殖にどのように関わるかを解明し、またその阻害が新たな治療標的となりうるかを検討するために、計画した研究を遂行した。候補遺伝子のノックダウン前後で生じるリン酸化シグナルタンパクの変化、また遺伝子発現状況の変化についての網羅的な測定を行った。また、免疫抑制マウスにおける生体内で作成した腫瘍に対する候補遺伝子のノックダウン実験を実施した。これらの研究により、候補遺伝子が腫瘍増大に与える重要な役割を解明し、治療標的として有望であることを示した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

骨肉腫の治療成績は長きに渡り向上が乏しく、新規治療開発による予後の向上が強く求められる疾患である。各種の癌腫において遺伝子変異を標的とした新規治療が開発されているが、骨肉腫においてはそのようなアプローチは取りづらいという問題点があった。本研究は発現解析をもとに抽出した新規治療標的遺伝子に対して、その機能解析と治療標的としての評価を行ったものである。今後の併用薬の選出および動物実験の進行により、将来的には骨肉腫の新規治療法の創出に結びつけることを期待できる。

研究成果

• [学会発表] 難治性骨肉腫における糖鎖遺伝子の役割と治療標的としての可能性 (2020)
  • 著者名/発表者名: 渡邉健太郎、加登翔太、磯部知弥、緒方瑛人、田坂佳資、上野浩生、南谷泰仁、田中洋子、白石友一、千葉健一、梅田雄嗣、樋渡光輝、宮野悟、小川誠司、滝田順子
  • 学会等名: 第79回日本癌学会学術総会
• [学会発表] The impact of a glycosylation-related gene on osteosarcoma cells and its potential as a novel therapeutic target (2020)
  • 著者名/発表者名: Kentaro Watanabe, Shota Kato, Tomoya Isobe, Masahiro Sekiguchi, Yasuo Kubota, Eito Ogata, Keisuke Tasaka, Hiroo Ueno, Yasuhito Nannya, Hiroko Tanaka, Yuichi Shiraishi, Kenichi Chiba, Katsutsugu Umeda, Mitsuteru Hiwatari, Akira Oka, Satoru Miyano, Seishi Ogawa, Junko Takita
  • 学会等名: The 52nd Congress of the International Society of Pediatric Oncology (SIOP)
  • 国際学会
• [学会発表] 糖鎖修飾遺伝子の骨肉腫細胞における役割と、治療応用への可能性 (2020)
  • 著者名/発表者名: 渡邉健太郎、加登翔太、緒方瑛人、田坂佳資、上野浩生、梅田雄嗣、樋渡光輝、宮野悟、小川誠司、滝田順子
  • 学会等名: 第62回日本小児血液・がん学会学術集会