研究課題/領域番号 |
20K16361
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
千々岩 芳朗 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60783701)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 膵癌 / 腫瘍微小環境 / 膵星細胞 / オルガノイド / 膵星細胞(PSC) / 癌間質相互作用 / Erap2 / オートファジー / 膵オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌はdesmoplasiaと呼ばれる過剰な癌間質増生を特徴としており、特徴的な腫瘍微小環境(TME)を形成し癌と間質の相互作用が癌の進展を促進していると考えられている。間質は主に膵星細胞(PSC)から成るが、PSCの機能的役割には未だ不明な点が多い。 TMEを制御する機序を明らかにすべく、desmoplasiaが癌細胞浸潤や血管新生を妨げ腫瘍抑制性を発揮している可能性に注目した。ヒト由来膵癌オルガノイドとPSCを用いてTMEを再現し、間質全体ではなく、腫瘍促進性PSCや間質を含むTMEのみを選択的にターゲットとして腫瘍抑制性のTMEを誘導するといった、癌間質のheterogeneityを念頭においた独創的な研究で新規治療法の開発につなげる。
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研究成果の概要 |
膵癌患者由来、慢性膵炎患者由来の膵星細胞(PSC)を比較し、癌由来PSCにアップレギュレートされていたERAP2を抑制することで、腫瘍促進性PSCを静止状態へと変換可能であること、その結果腫瘍増大と線維化レベルを抑制できることがin vitro, in vivoレベルで実証できた。 更に、腫瘍微小環境(TME)が膵オルガノイド(PDO)に影響を検討したところ、癌関連線維芽細胞(CAF)が分泌するニッチ因子によってPDOの表現型が維持されることが示され、高分化型PDOはニッチ依存性と相関してメバロン酸経路関連遺伝子の発現をアップレギュレーションしていることも示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、PSCのERAP2は小胞体由来のオートファジーを介してPSCの活性化も制御し、ひいては腫瘍増大と線維化レベルを抑制していることが示唆された。以上からは、ERAP2が膵癌治療に対する有望な治療標的となり得るといえる。 加えてPDOを用いた検討では、TMEにおけるCAF由来のニッチ因子がPDOの分化型を維持しており、高分化型PDOはニッチ依存性と相関してアップレギュレートされる経路があることが示された。このことは、新たな膵癌サブタイプ分類ベースの治療戦略の開発の必要性を訴える結果といえる。
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