研究課題/領域番号 |
20K16387
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木庭 遼 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10866776)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 食道癌 / 白金製剤 / 銅輸送体 / 蛍光X線分析 / 腫瘍微小環境 / 蛍光x線分析 / 白金錯体系抗腫瘍薬 / 治療抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
Cisplatinは白金錯体系抗腫瘍薬であり、食道癌治療における主要薬剤の一つであるが、その治療効果は十分とはいえない。白金製剤の治療抵抗性には銅輸送体が関与するという報告が散見されているが、その機序は不明である。本研究では、蛍光X線分析という工学的アプローチを用いて、cisplatinを投与した食道癌組織中の銅の局所かつ微量な分布を可視化することで、抗癌剤の腫瘍内動態や銅輸送体の役割を明らかにする。臨床情報や抗腫瘍効果との関連を調査することで、cisplatinを用いた化学療法に対する個々の治療反応性を予測し、さらには耐性獲得の機序を解明することで、白金錯体系抗腫瘍薬の治療効果の改善や副作用の軽減につなげる。
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研究成果の概要 |
本研究の目的はCisplatin投与後の食道癌中の銅の分布分析を行うことで銅関連輸送体に関連した化学療法抵抗性獲得の機序を解明することである。まずどの細胞が主に銅輸送体関連遺伝子 (CTR1/2)を発現しているかを評価するため、シングルセルデータを用いて網羅的解析を行ったところ、術前化学療法を施行した食道癌サンプル6例において、線維芽細胞などの間質細胞よりマクロファージでCTR1/2が高発現しており、術前化学療法奏効率においてPD群とSD/PR群で比較したところ、PD群のマクロファージのCTR2の発現が低い傾向がみられた。以上によりマクロファージが治療抵抗性に関係している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は食道癌における白金錯体系抗腫瘍薬への抵抗性獲得の機序として銅輸送体に着目し、白金製剤投与後の銅輸送体の各細胞における発現度や銅の局所的な分布を評価することで化学療法治療抵抗性の機序を解明することを目的とした。シングルセル解析を行うことで、網羅的かつ単一細胞レベルでの詳細な発現解析が可能であった。従来、線維芽細胞などの間質細胞が白金製剤抵抗性に寄与していると考えられていたが、本研究によりマクロファージが関連していることが示唆され、今後治療抵抗性獲得機序の解明における一助となりうると考えられた。
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