研究課題/領域番号 |
20K16411
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
百瀬 文康 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座助教 (20798326)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | CpG / がん悪性化制御 / T細胞 / エクソソーム / マクロファージ / がん免疫療法 / T細胞エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
最近申請者は、CpG ODNを腫瘍移植BALB/cマウスに投与した結果、腫瘍内浸潤T細胞の増加や腫瘍関連マクロファージの減少に加え、がん間質が消失することを発見した。本がん間質消失作用はヌードマウスでは認められないことから、CpGにより活性化されたT細胞やT細胞から分泌されたエクソソームによりがん間質が阻害された可能性が考えられ、CpGが宿主の免疫系と腫瘍の両側面に働き、がん悪性化を制御できる可能性が示唆された。そこで本研究では、CpGのT細胞エクソソームを介したがん悪性化制御作用とその分子機構を解明し、がん浸潤・転移阻害剤の創製に向けた臨床応用の基盤を構築する。
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研究成果の概要 |
本研究では、CpGの腫瘍内投与が、CpGを投与した局所腫瘍に加え、CpG非投与部位の遠隔腫瘍に対しても抗腫瘍効果を示し、腫瘍微小環境中の腫瘍の浸潤や転移を促進するがん間質や腫瘍関連マクロファージ等の抗腫瘍免疫抑制に働く環境を改善し、がんの悪性化を抑えることを見出した。また、CpGはエクソソームの産生を促し、上記の作用はエクソソーム阻害剤により抑制され、CpGによる全身性の抗腫瘍効果やがん悪性化抑制作用にはエクソソームが関与している可能性を示した。さらにCpGとがん免疫療法を併用した治療法の探索では、CpGにがんワクチンやT細胞療法を併用すると抗腫瘍効果がさらに増強することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
遠隔転移を伴うがんの生存率は、早期原発がんと比較して著しく低下する。そのため、現在がんの浸潤や転移を標的とした治療薬の早急な研究開発が社会的に求められている。本研究では、CpGの腫瘍内投与が、腫瘍の浸潤や転移等のがんの悪性化を促すがん間質組織や腫瘍関連マクロファージ等の腫瘍微小環境中の抗腫瘍免疫抑制環境を抑制することを明らかにし、エクソソームの産生を介して全身性の抗腫瘍効果を誘導する可能性を示した。本研究を基礎とした今後の進展によりさらに本機構について解明できれば、がん浸潤・転移阻害薬の創製やCpGと免疫療法を併用した複合的がん免疫療法の開発が期待できる。
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