研究課題/領域番号 |
20K16527
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
郡山 豊泰 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 臨床検査技師 (60723616)
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研究期間 (年度) |
2020-02-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | NTM / RICTOR / microRNA / M. avium / 非結核性抗酸菌症 / Macrophage / 肺MAC症 / mTOR / 肉芽腫 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
難治性慢性呼吸器疾患である肺 MAC (M. avium complex) 症は、世界中で患者数の増加傾向にある。やせ型中高年女性の非喫煙者が多いこの疾患は、広範な肉芽腫形成による気管支内腔の破壊やその周りの線維化が特徴な病理所見である。肺 MAC 症の発症要因は未だ不明な点が多く、確定診断と治療介入の基準があいまいな感染症である。本申請では、「M.avium による microRNA を介した mTOR シグナル変化が慢性肉芽腫形成を制御する」という仮説について分子生物学的手法を用いて検証する。
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研究実績の概要 |
難治性慢性呼吸器疾患である肺 MAC (M. avium complex) 症は、世界中で患者数の増加傾向にある。やせ型中高年女性の非喫煙者が多いこの疾患は、広範な肉芽腫形成による気管支内腔の破壊やその周りの線維化が特徴な病理所見である。肺 MAC 症の発症要因は未だ不明な点が多く、確定診断と治療介入の基準があいまいな感染症である。本年度は、当院検査部で分離されたM.avium complex株を用いてMATR-VNTR解析を行った。M.avium complexの同定試験は、固形培地(2%小川培地:極東製薬社)や液体培地(MGIT:日本B.D.社)で分離された菌株をPCR法(cobas MAI:Roche社)を用いて同定した。菌株のDNA抽出は、QIAamp DNA mini kit(QIAGEN社)で行い、得られたDNAをもとに多型解析を行った。多型解析は、15ヶ所のMATR-VNTR領域を対象としPCR増幅反応を行った (T. Inagaki et al. J Clin Microbiol. 2009)。PCR産物は、2 % アガロースゲル電気泳動により分離した。分離された菌株は、材料腫により同一クローンを示しており、臨床現場において感染ルートの同定に非常に有用であることが再確認できた。今後もMATR-VNTR解析を検査部で迅速に行っていける体制作りにも貢献できると考えている。 本年度は、MAC感染症にmicroRNAが関与しているか、単球マクロファージ系の細胞を用いた実験を開始している。炎症に関わる細菌感染症におけるmicroRNAとしていくつかのmicroRNAがmTOR関連分子を制御する結果を以前報告しているので、これらmicroRNAのMAC感染症への関与も視野に入れて研究を進行中である。また、本年度は計画していたマイクロアレイによる標的microRNAの探索が出来なかったが、次年度早々に行い、炎症シグナル、増殖シグナルに及ぼす影響を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ検査対応等による業務の多忙のため予定通り進行していない。特にmicroRNAの研究計画が全体的に遅れ気味であるので、今後は、マイクロアレイを行い標的microRNAの探索を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、MAC感染症における病態メカニズムを基礎研究により明らかにする計画を立てている。以下の2点にフォーカスをあてて研究を進める。1.microRNAのマイクロアレイを実施する。M.avium complex感染細胞の抽出RNA を使用してプロファイリングを行い、M.avium complex感染に特徴的なmicroRNAを同定する予定である。2.mTORシグナルが細菌感染症において炎症反応を制御していることを見出しているので、M.avium complexによる感染が、mTOR関連分子のシグナルをどのように変化させるかを検討する。 以上の2点と、前年度までの臨床検討を合わせて、今後のMAC感染症の診断治療に貢献できるものと考える。
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