研究課題/領域番号 |
20K16616
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 愛子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (20831522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 心理的苦悩症状 / ライフイベント / 気分障害 / 評価尺度作成 / ERPD-24 |
研究開始時の研究の概要 |
気分障害患者は、職場の人間関係の問題など、心的外傷体験に満たないより日常的な出来事であっても、フラッシュバックなどの侵入症状や回避症状を来たす。この「ライフイベントに関連した心理的苦悩症状」の特徴や心的外傷後ストレス障害の症状との差異に関しては、不明確な部分が多い。 本研究では、心理的苦悩症状の特徴を症候学的側面から明確化し、評価尺度を開発する。気分障害患者を対象に質的研究で同症状の特徴を抽出し、それを元に尺度を作成する。 気分障害患者の心理的苦悩症状の臨床的特徴や精神病理への理解が進み、客観的評価が可能となることで、同症状を対象とした心理療法の検討など新規治療開発の礎になると期待される。
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研究成果の概要 |
心的外傷後ストレス障害の診断基準に満たない、より日常的に生じうる出来事に関連した心理的苦悩症状(Event-Related Psychological Distress:ERPD)に特化した評価尺度開発が本研究課題であった。質的研究により、ERPDの特徴を抽出して原案を作成した後、一般被験者を対象に尺度の信頼性・妥当性を検証し、評価尺度「ERPD-24」を作成した。 さらに、気分障害患者と健常者を対象に横断研究を行った。非寛解うつ病患者および、双極性障害患者は寛解・抑うつ・躁/軽躁群に関わらず、健常者よりERPDが重度かつ頻回で長時間発生することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心理的苦悩症状(ERPD)の重症度を測る評価尺度「ERPD-24」を作成し、ERPDが復讐心・反芻・自己否定・精神麻痺の4要素で構成されることを明らかにした。 気分障害のうち、主にうつ病患者のPTSD様症状に関する研究報告はあるものの、症状の詳細を探求した研究、評価や治療的視点を持った研究報告は見られなかった。本研究によりERPDの特徴を明確化し、その評価方法を開発することで、ERPDの臨床精神病理的な理解が進むと共に、これまでPTSDの診断がつかないため治療対象とみなされなかった気分障害患者のERPDを適切に評価し、治療的介入の対象とみなす視点を得られ、今後の気分障害治療に有益となると考える。
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