研究課題/領域番号 |
20K16633
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
倉地 卓将 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (10836662)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 親子関係 / 脳神経 / 行動 / 霊長類 / マーモセット / 社会的隔離 / 向社会性行動 / 活性化脳部位 / 養育行動 / 脳神経科学 / 恐怖反応 |
研究開始時の研究の概要 |
幼少期の劣悪な養育環境(虐待やネグレクトなど)は成長後のストレス感受性を高めたり社会的行動の異常を引き起こすことが知られているが、養育環境の変化を認識する脳部位がどこであるかは明らかになっていない。 本研究では、ヒトに近い養育行動を行うコモンマーモセットを対象として、養育環境の変化を認識する脳部位を検出し、その部位が行動や生理的な変化に関与していることを明らかにすることを目的とする。 マーモセットにおいても養育環境により成長後の行動が異なることの確認、養育環境の差で活性化する脳部位の検出、その部位の人為的な活性化により行動の変化が引き起こされることの実証を行う。
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研究成果の概要 |
本研究の結果から、コモンマーモセットにおいて親哺育と人工哺育では恐怖刺激に対する反応が異なること、新生児において親から隔離すると翌日には鳴き声が減少すること、juvenile個体で同様に親から隔離した2日後に再会させると遊び行動のような向社会性行動が増加し海馬台が活性化することなどが明らかとなった。以上の結果から、自身の社会的状況の認識に海馬台が関わっており、その状況認識が成長後まで影響を及ぼしている可能性が示唆された。 新生児においては隔離・再会を認識する脳部位の解明までは至れなかったが、今後の研究でjuvenileとの活性化部位の比較を行う予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
虐待やネグレクトなどの不適切な養育が思春期以降の鬱や自殺、犯罪などのリスク増大につながることはよく知られている。人間以外の哺乳類でも幼少期の社会的隔離はストレス感受性の増大や探索行動の減少、恐怖反応の増大、社会行動の異常などを引き起こす。しかし、社会的隔離が子の脳でどのように感知され、どのように成長後の行動に影響するのかは分かっていなかった。本研究の成果から、その機構の一部を解明することができた。さらに研究が進むことで虐待やネグレクトによる負の影響を除去するためのより効果的なケアの開発に貢献できる可能性がある。
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