研究課題/領域番号 |
20K16668
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川端 梨加 金沢大学, 医学系, 研究員 (70726207)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 遺伝子改変マウス / 神経活動依存性遺伝子 / 電位依存性カリウムチャネル / 統合失調症 / パルブアルブミン / カリウムチャネル / Kcnb1 / in situ hybridazation / T迷路 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症では作業記憶などの広汎な認知機能に障害を認める。大脳皮質の抑制性ニューロンであるパルブアルブミン(PV)陽性ニューロン(PVニューロン)は、大脳皮質における情報処理を効率化することで認知機能に重要な役割を果たす。統合失調症ではPVニューロンにおいて電位依存性カリウムチャネルサブユニットKCNS3の発現が低下しており、PVニューロンの機能低下と認知機能障害に結びついている可能性が考えられる。本研究では、KCNS3遺伝子を不活化した遺伝子改変マウスを用いて、KCNS3の統合失調症の認知機能障害の病態における重要性を検証し、新規治療法の開発に役立てる。
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研究成果の概要 |
統合失調症の大脳皮質において、パルブアルブミン陽性の抑制性ニューロンにおけるカリウムチャネルサブユニット遺伝子KCNS3の発現低下が、大脳皮質神経回路の活動性に影響を及ぼし神経活動依存性遺伝子EGR1, EGR2, BDNF, NPTX2, PVALBの低下を起こしている可能性を評価するために、Kcns3の発現を低下させた遺伝子改変マウスの大脳皮質にてこれらの遺伝子の発現を調べた。その結果、いずれの遺伝子においても有意な発現変化は認められなかった。統合失調症では、パルブアルブミン陽性細胞におけるKCNS3の発現低下は、大脳皮質神経回路の活動性変化の上流メカニズムでないことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究から、パルブアルブミン陽性ニューロンにおけるKCNS3の発現低下は皮質神経回路の活動性には影響しないことが示唆された。本研究と並行して行われた共同研究では、PVニューロンにおけるKcns3の発現低下が、PVニューロンによる40Hz-80Hzの周波数帯域(γ帯域)における律動的な発火パターンに乱れを生じさせることを明らかにした。PVニューロンはγ帯域における律動的神経活動の形成を担っているので、本研究の結果と合わせて、Kcns3の発現低下は、ニューロンの活動量ではなく活動パターンに影響を与えることで、統合失調症患者で多く報告されているγ帯域の神経活動の異常に関与していることが考えられた。
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