研究課題/領域番号 |
20K16711
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
上野 裕 関西医科大学, 医学部, 助教 (90716458)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インターベンショナルラジオロジー(IVR) / ナノバブル / キャビテーション / ソノポレーション / インターベンショナルラジオロジー(IVR) / エコー / マイクロバブル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではマイクロ、ナノバブルが圧壊するときに生じるキャビテーション効果の物理的衝撃作用を増強し、これを皮下で生じさせ薬剤の経皮吸収促進として利用する。方法は白金を含有する抗癌剤であるシスプラチンを溶解した液体(水溶性、脂溶性)に多量のナノバブルを含ませ、ラット皮膚に塗布して経皮吸収が生じた時点で超音波を照射し、皮下組織および血液を採取してそれぞれに含まれる白金含有量を測定する。これにより皮下でのシスプラチン吸収量と全身への取り込みを定量評価する。皮下組織内に多量のナノバブルを存在させキャビテーションを起こせば、増強された物理的衝撃作用により経皮吸収が促進されると予測した。
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研究実績の概要 |
2022年度は学会参加を行い、情報収集を行った。後半で動物実験の準備段階として、本施設内での動物実験計画書の作成と実験手法の再検討を行い、現実可能な代替案としての外部施設を利用した実験計画の作成を行った。 本年度は新型コロナ感染症の拡大と、これに伴う行動制限の影響で、施設間の行き来が制限されていたため、動物実験は思うように行えていない。この影響もあり、2022年第81回日本医学放射線学会総会および第58回日本医学放射線学会秋季臨床大会にオンラインでの参加を行った。これにより、放射線医学に関する最新の知見を得ることができた。 2020年から2021年度で行った試験管内でのソノポレーションの実験では水溶性溶剤としてエコーゼリーを用い、シスプラチンを溶解した生理食塩水を混和し、これにナノバブルを発生させたたバブル含有液体を作成している。このバブル含有液体でのキャビテーションの実験は行ってきたが、動物実験では多量のバブル含有液体が常に皮膚環境に保持することが難しいことが分かっている。バブルは超音波照射により経時的に消失するため、ナノバブルを大量に維持しない限り、効率的なキャビテーションが得られないと予想されるからである。 この解決策として、当初より予定しているラットを用いた動物実験の計画を維持しつつ、代替案として、より広い皮膚照射範囲を得られる豚を用いた実験の計画を考案した。この代替案では、新鮮なバブル含有液体を維持するために逐次的に豚の表皮にバブル含有液体を塗布していく方法をとっている。ラットであればバブル含有液体の投与量を増やす過程で、バブルが消失した液体との混和が避けられないが、豚ではより広い皮膚照射範囲が得られるために部位を変えながら常に新しいバブル含有液体を投与することができる。これを実際の実験として行えるように、新たな実験方法を策定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大と、これに伴う行動制限の影響で、施設間の行き来が制限されていたため、動物実験は思うように行えていない。 2020年から2021年度で行った試験管内でのソノポレーションの実験では水溶性溶剤としてエコーゼリーを用い、シスプラチンを溶解した生理食塩水を混和し、これにナノバブルを発生させたたバブル含有液体を作成している。実験でエコー照射によるバブルの消失が確認されており、エコーセリーと生理食塩水の混和時にエコーゼリーの混合比が低濃度であるほうがバブルの密度は低いものの、圧壊速度が速いことが明らかになっている。 現在までに、動物実験ではバブル圧壊スピードの速い混合液のほうがキャビテーションはより強く生じることが予測されており、エコーゼリーの含有量を減らしていく必要がある。こうなると、バブル含有液体の粘張度が低下し、局所に多量の液体を維持することが難しいことが分かった。また、バブルは超音波照射により経時的に消失するため、ナノバブルを大量に維持しない限り、効率的なキャビテーションが得られないと予想される。 このため、現行の動物実験を繰り返すのみでは、当初想定したキャビテーションによるシスプラチンの経皮吸収促進を効率的に行うことができない。そこで、今回、新たな動物実験を代替案として策定し、今後の実験を継続する環境を整えている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験ではバブル圧壊スピードの速い混合液のほうがキャビテーションはより強く生じることが予測されており、エコーゼリーの含有量を減らしていく必要がある。こうなると、バブル含有液体の粘張度が低下し、局所に多量の液体を維持することが難しいことが分かった。また、バブルは超音波照射により経時的に消失するため、ナノバブルを大量に維持しない限り、効率的なキャビテーションが得られないと予想される。 この解決策として、当初より予定しているラットを用いた動物実験の計画を維持しつつ、代替案として、より広い皮膚照射範囲を得られる豚を用いた実験の計画を考案した。この代替案では、新鮮なバブル含有液体を維持するために逐次的に豚の表皮にバブル含有液体を塗布していく方法をとっている。ラットであればバブル含有液体の投与量を増やす過程で、バブルが消失した液体との混和が避けられないが、豚ではより広い皮膚照射範囲が得られるために部位を変えながら常に新しいバブル含有液体を投与することができる。これを実際の実験として行えるように、新たな実験方法を策定した。 当施設では豚を用いた動物実験はできないが、ボストンサイエンティフィックジャパンの宮崎県実験施設での実験を行う予定である。この施設での実験はすでに当研究チームでの実績を有しており、予定している実験をスムーズに行うことができる。
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