研究課題/領域番号 |
20K16818
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 (2022) 東京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
竹中 亮介 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学成田病院, 教授 (30823421)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 全身照射 / 造血幹細胞移植 / 強度変調放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
同種造血幹細胞移植の骨髄破壊的前処置を、全身照射ではなく全骨髄リンパ系照射で行なうことによって、正常臓器への被曝による重篤な放射線障害を減らすことを目的とする。移植適応となる血液原疾患の種類や、併用化学療法の種類については特段の制限を設けない。全骨髄リンパ系への線量を従来の12Gyから15Gyに増加して抗腫瘍効果を上昇させるとともに、正常臓器への被曝線量を4Gy程度に抑える治療ビームを作成し全骨髄リンパ系照射を施行する。移植後の全生存、無再発生存、有害事象を評価して、当院において過去に全身照射を施行した症例との比較を行ない、全骨髄リンパ系照射の優越性を評価する。
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研究実績の概要 |
造血幹細胞移植は多くの血液疾患に対する根治的な治療法である。同種造血幹細胞移植の前には生着不全の防止のために大量化学療法と全身照射による前処置が行われるが、全身照射では正常臓器への被曝によって生じる放射線障害が時に重篤な問題となる。全身を照射するのではなく、正常臓器への被曝線量を低減させて全骨髄およびリンパ系にのみへ照射することで放射線障害を避け、移植後の予後改善に繋げることが本研究の目的である。全骨髄リンパ系照射については海外では少数例での報告があるものの、本邦における施行報告はまだない。当院では過去5年間で、新規放射線治療装置Helical TomoTherapyを用いて全身照射を強度変調放射線治療で施行する方法を確立した。これをさらに洗練させて全骨髄リンパ系照射を施行する。全骨髄リンパ系照射により正常臓器の放射線障害を低減させることにより多くの血液疾患の予後改善に繋がることが期待され、非常に意義の大きい研究である。 本年度は9症例に対して造血幹細胞移植前全身照射を施行した。そのうち2症例では眼球、生殖器などを遮蔽した照射を行った。 強度変調放射線治療を用いた全身照射による造血幹細胞移植の成績を、2021年11月に開催された日本放射線腫瘍学会第34回学術大会において報告した。移植後1年時点における全生存割合は81.8%、無再発生存割合は54.0%、無再発無有害事象発生生存割合は42.0%であった。これらは従来の照射方法による全身照射での移植後成績の文献報告と遜色のない成績であった。患者希望により卵巣遮蔽を行なった若年成人女性症例において無再発で月経回復した症例も経験された。 今後は引き続き症例集積を進めるとともに、より良い線量分布を得るための放射線物理的研究も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は9例に対して造血幹細胞移植前全身照射を施行した。当初の予定通りの症例数よりもやや少ないが、研究責任者の異動に伴う症例集積の一時的な減少の影響と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例集積を進めるとともに、より良い線量分布を得るための放射線物理的研究も行う予定である。 具体的には、現在実施している放射線治療に関しては全症例において皮膚表面に線量測定用のフィルムを貼付し定点で実治療中の線量測定を行っている。また治療前位置合わせのメガボルトCTについても計画的標的体積全体を撮影範囲に含めることで実治療時の体輪郭を抽出できるようにしている。これらを基にした実治療時の照射線量と、計画装置上での線量シミュレーションがよりよく合致するようなビームの作成方法を検討する予定である。
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