研究課題/領域番号 |
20K16873
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中野 嘉子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00796005)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 小児脳腫瘍 / 神経膠腫 / 小児がん / 脳腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
神経膠腫は、小児がん死亡最大の原因である脳腫瘍の約半数を占める。小児神経膠腫は、約半数の症例で病理像や発生部位に特徴的な遺伝子異常が認められるが、残りの半数では未だにその生物学的特徴が明らかにされていない。そこで、本研究では多施設共同研究として全国から集められた小児神経膠腫の遺伝子解析を行い、臨床像や病理所見と併せて分析し、国内の小児神経膠腫のプロファイルを明らかにすること、また、新たな生物学的特徴や治療標的を同定することを目的としている。本研究の成果は、今後の治療開発にも役立ち、小児神経膠腫の予後の改善に資することが期待できる。
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研究成果の概要 |
約300例の小児神経膠腫の解析を行った。パイロシークエンスやRT-PCRなを用いた簡易かつ安価な方法により、53%で典型的な遺伝子異常が検出され、診断や治療法の選択に寄与し得ることが示唆された。神経膠腫に含まれる様々な病理型における遺伝子異常の頻度、各遺伝子異常から見た病理組織型の頻度は、海外からの小児神経膠腫の報告と同様の傾向を示していた。病理診断が難しい症例を中心にRNAシークエンスやメチル化解析を実施したところ、新たな病型と考えられる症例の同定や稀な症例からNTRK融合遺伝子が検出され、このような解析を臨床に活用することが小児脳腫瘍の臨床の向上、予後の改善につながることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
簡易な解析を行うことで小児神経膠腫の50%以上で診断に寄与し得る典型的な遺伝子異常が検出されるた。また、BRAF V600EやNTRK融合遺伝子は、神経膠腫に含まれる様々な病理組織型、さらには神経膠腫以外の病型とも鑑別の難しい症例からも検出された。さらに、次世代シークエンサーを用いることで、診断困難例の生物学的特徴も明らかにしすることができた。これらは、分子遺伝学的解析の実施の意義、すなわち、小児脳腫瘍における診断の精度の向上による適切な治療の選択、また分子標的薬を用いた予後の改善につながることを示唆している。
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