研究課題/領域番号 |
20K16907
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
奈良 昇乃助 東京医科大学, 医学部, 助教 (70459569)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 近赤外線分光装置 / 脳組織酸素飽和度 / 組織酸素代謝指標 / NIRS / 早産児 / 未熟児動脈管開存症 / 頭蓋内出血 / 晩期循環不全 |
研究開始時の研究の概要 |
動脈血酸素飽和度は早産児の管理指標として一般的に用いられているが、各臓器への酸素供給量を必ずしも反映しない。一方、近赤外線分光装置で測定できる組織酸素代謝指標は、各臓器における酸素需給の状態を評価することができる。本研究は、早産児における脳組織酸素代謝指標を長期間追跡し、脳組織酸素代謝指標の変化と神経学的予後との関連について検討することで、神経学的予後不良を回避するため妥当といえる脳組織酸素代謝指標の管理目標値を解明し、新しい早産児管理法を開発することを目的としている。
|
研究実績の概要 |
組織酸素代謝指標は、任意の組織における酸素代謝状態を評価できる点で有益だが、その管理目標値が明らかでないことが臨床現場で運用する上での障壁となっている。本研究は、早産児の脳組織酸素代謝指標の経時的に測定し、予後との関連について検討することで未熟児診療における脳組織酸素代謝指標の管理目標値を見出すことを目的としている。2023年度はデータ収集と並行して、国内学会・国際学会で研究成果の報告をおこなった。 在胎30週未満または出生体重1500g未満の早産児を対象に近赤外分光装置(TRS-20 浜松ホトニクス社)を用いて、脳組織の酸素需給バランスを反映する脳ヘモグロビン酸素飽和度(cSO2)、脳酸素消費を反映する脳酸素摂取率(cFTOE)、脳血管床を反映する脳血液量(CBV)などの脳酸素代謝指標を生後早期から修正満期まで週1回のペースで経時的に計測した。cFTOEと修正週数に正の相関、CBVと修正週数に負の相関を認めたが、cSO2と修正週数との間には相関を認めなかった。この結果から、早産児では週数の進行に伴って脳酸素消費量が増える一方、脳血管床の発達は遅延しており、脳組織における酸素代謝バランスが崩れやすい仮説が考えられた。昨年度にNICU入院中にcSO2低値(60%未満)を認めた早産児の群はcSO2低値を認めなかった群に比べて修正18か月時点での認知性DQと運動性DQが低値であったことを報告したが、その裏づけとなるデータと考えている。 2024年度はこれまでの研究成果を国際学術集会で発表し、論文投稿をおこなう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、検査機器に故障が生じ、修理が必要になった経緯があった。一定期間データ収集ができなかったことで当初の計画通りにデータ収集が進まず、研究計画に遅れが生じている。また、検査機器の故障の前後に早産児の入院数が少ない時期が重なったことで、早産児自体の症例数だけでなく、合併症を呈した早産児の症例数についても当初の想定通りに増えなかったことも原因として挙げられる。
|
今後の研究の推進方策 |
新規のデータ収集を進めつつも、集計済みのデータについて統計解析をおこない、研究成果の論文化を主体に研究を推進する。 具体的には、早産児の脳組織酸素代謝指標の推移と修正18か月予後との関連の報告、未熟児動脈管開存症における上下肢の組織酸素飽和度比との関連、慢性肺疾患を合併した早産児の脳酸素代謝に対して人工呼吸器のモード変更が与える影響などについてである。
|