研究課題/領域番号 |
20K17050
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 和幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (40795027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / 抗PD-1抗体 / バイオマーカー / 胆道癌 / PD-L1 / 癌免疫療法 / 膵臓癌 / 抗PD-1抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は膵癌患者において血液中に自然に誘導される抗PD-1 抗体の臨床経過との関連を明らかにし、特にリンパ節転移の有無による免疫活性化状態の変化も検討、抗PD-1治療抗体の有用性を高める生体環境調節法を開発することを目的としている。 癌免疫チェックポイント阻害剤は膵癌に関しては大きな期待が持てない状況であが、他治療との組み合わせで有効な症例が存在する可能性はあり、有効性予測マーカーの探索は需要である。組織生検などを行わずとも全患者で評価が可能な血液中の自然発生している生体内の自己抗体について評価し、より安価でより広く患者を絞り込むことができる方法の開発を行う。
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研究成果の概要 |
免疫抑制分子であるPD-1に対する抗体陽性反応陽性者が膵癌患者でも一定数存在することを発見し、化学療法の有効性予測バイオマーカーとなり得るか検討した。膵癌化学療法患者の血清を使用し、間接ELISA法で血清中抗PD-1抗体価を測定した。血中抗PD-1抗体価が高値群は低値価群と比較して有意に生存期間が延長しており、抗腫瘍効果では、DCRが高値群で有意に高いことが判明した。切除検体を用いて腫瘍部のPD-L1染色と抗PD-1抗体価の関連性を検討したが、有意な関連はなく、抗体産生は個体差によるものと推測している。抗PD-1抗体陽性患者はPD-1-PD-L1結合を阻害し、細胞免疫活性に寄与すると推測する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、多くの癌種での有用性が報告されているチェックポイント阻害剤であるが、膵癌に対しては効果が乏しいとされている。今回の検討で血清中にPD-1に対する自己抗体があることが判明し、抗体価が高い群では、生命予後が良好で、抗腫瘍効果が良好な結果であった。抗PD-1抗体価が高い状態では、PD-1ーPD-L1の結合を阻害することで細胞免疫が活性化していると考えられる。逆に抗体価が低い症例では、既存のPD-1抗体の使用により抗腫瘍効果を示すことも期待される。細胞性免疫の活性化には、膵癌特有の線維化なども関与しており、一元的には論述できないが、腫瘍側因子も整理していく事で、次世代の治療に繋がる可能性がある。
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