研究課題
若手研究
近年、分子病態に即した気管支喘息やCOPDの層別化(エンドタイピング)に基づく治療法選択の重要性が認識されつつあるが、現在臨床応用されているマーカーで診断に活用できるのは気管支喘息症例の一部に限られ、COPDの診断に活用できる血液検査はない。気管支喘息・COPD・ACOの診断に広く応用できるバイオマーカーの開発が極めて重要な課題である。本研究では、過去の報告からバイオマーカーとしての可能性が示唆される点や喀痰・血液・気管支肺胞洗浄液で安定的かつ簡便に検出が可能である点からNGALおよびRAGE・sRAGEに着目し、これらの臨床応用への基盤となる知見を確立する事を主目的とする。
Papainの反復気管内投与によりACOの病態を反映したマウスモデルが作成できないか検討したところ、気腫、アレルギー性気道炎症、気道過敏性亢進をもたらす事が示された。またBALF中のサイトカインアレイ解析から、本モデルは喘息やCOPDの気道炎症の特徴を反映すると考えられた。バイオマーカー候補のNGALやsRAGEのBALF中の挙動もヒトと一致し、良好なマウスモデルと考えられた。Ⅱ型肺胞上皮細胞のシングルセル解析にて喘息やCOPD モデルと比較してACO 群に特異的な3つのクラスター(Atf5+ AT2,Meg3+ AT2, Il4i1+ AT2)を同定した。また、広くNGALの高発現を認めた。
過去にACOの病態を良好に反映したマウスモデルが開発されておらず、病態解明に向けて障壁となっていたが、本研究により良好なACOマウスモデルが樹立され、さらに新たな病態形成を担う可能性のある分子を認めた。また、NGALのバイオマーカーとしての可能性を示唆する結果を得た。本マウスモデルを用いることで、ACOにおけるバイオマーカーや治療標的分子の同定に向けた研究が期待でき、現在解析を進めている。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件)
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