研究課題/領域番号 |
20K17186
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
新井 航 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (30837224)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | タイトジャンクション / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 肺癌 / HDAC阻害薬 / 肺腺癌 / タイト結合分子 / LSR / claudin-2 |
研究開始時の研究の概要 |
cell line(実験室の試験管の中で、人工的に維持される不死化した細胞)及び手術検体より採取した原発性肺腺癌組織を培養し、同じく手術検体より採取した正常初代培養上皮細胞を培養して様々な処置を行い比較検討し解析する。 抗腫瘍効果が認められているが、詳細なメカニズムが不明なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による肺癌に対する抗腫瘍効果のメカニズムをがん細胞の増殖、浸潤および遊走に密接な関与がみられるタイト結合分子lipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR)および claudin-2に焦点を当て解明し治療につなげる。
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研究実績の概要 |
・ 研究概要・研究目的 ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤による肺癌に対する抗腫瘍効果のメカニズムをがん細胞の増殖、浸潤および遊走に密接な関与がみられるタイト結合分子lipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR)およびclaudin-2に焦点を当て解明する。また、手術検体より採取したヒト正常初代培養上皮細胞においての上記タイト結合分子に焦点を当て、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬を処置した際の肺腺癌細胞株との相違点を比較検討する。HDAC阻害剤はエピジェニックに作用する薬剤で、ヒストンのアセチル化を亢進し、クロマチン構造の弛緩を介して発現抑制された遺伝子の発現を促進させ、癌細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが報告されている。我々は、従来の抗癌剤とは全く異なる作用点を持ち、タイト結合分子の調整にも関与しているHDAC阻害剤に注目した。 ・ 研究計画・展望 ヒト剖検材料、手術材料より分離培養した初代培養癌細胞および肺腺癌細胞株(A549)を用いて、HDAC阻害剤による肺腺癌に対する抗腫瘍効果のメカニズムを解明する。 肺腺癌細胞株にてLSRの発現低下が2細胞間タイト結合claudinを誘導することを見出した。そして、いくつかのclaudin-2の肺腺癌の増殖調節機構の報告から、肺腺癌においてもLSRがclaudin-2を介して肺腺癌の増殖能の調節に関与している可能性が考えられた。肺腺癌細胞株に対して種々のHDAC阻害薬による処置を行うことにより、LSRおよびclaudin-2の発現の変化や局在の変化が起こることが確認され、HDAC阻害薬の抗腫瘍効果のメカニズムの一端にこれらの細胞接着分子が関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究における研究結果は英文雑誌に複数掲載された。2021年6月にHistochem Cell Biol に「Effects of histone deacetylase inhibitors Tricostatin A and Quisinostat on tight junction proteins of human lung adenocarcinoma A549 cells and normal lung epithelial cells.」が、2023年3月にOncotargetに「Downregulation of angulin-1/LSR induces malignancy via upregulation of EGF-dependent claudin-2 and TGF-β-dependent cell metabolism in human lung adenocarcinoma A549 cells」が掲載されている。さらなる研究報告を予定しているが、訪問研究員であるため2022年はコロナ化で研究室に出入りすることができず、当初の進捗予定に比べ遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
日本におけるコロナ禍も落ち着いてきたため、研究室に通いさらなる実験と研究報告を予定している。具体的にはA549以外の肺腺癌細胞株を使用した実験や、現在のところ実験を行っていない種類のタイトジャンクション分子とHDAC阻害薬の関係を実験を通して確認していく。さらに、本研究における実験で付随的に行った実験結果もまとめ英文論文での発表を目指している。
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