研究課題
若手研究
cell line(実験室の試験管の中で、人工的に維持される不死化した細胞)及び手術検体より採取した原発性肺腺癌組織を培養し、同じく手術検体より採取した正常初代培養上皮細胞を培養して様々な処置を行い比較検討し解析する。抗腫瘍効果が認められているが、詳細なメカニズムが不明なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による肺癌に対する抗腫瘍効果のメカニズムをがん細胞の増殖、浸潤および遊走に密接な関与がみられるタイト結合分子lipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR)および claudin-2に焦点を当て解明し治療につなげる。
・ 研究概要・研究目的ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤による肺癌に対する抗腫瘍効果のメカニズムをがん細胞の増殖、浸潤および遊走に密接な関与がみられるタイト結合分子lipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR)およびclaudin-2に焦点を当て解明する。また、手術検体より採取したヒト正常初代培養上皮細胞においての上記タイト結合分子に焦点を当て、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬を処置した際の肺腺癌細胞株との相違点を比較検討する。HDAC阻害剤はエピジェニックに作用する薬剤で、ヒストンのアセチル化を亢進し、クロマチン構造の弛緩を介して発現抑制された遺伝子の発現を促進させ、癌細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが報告されている。我々は、従来の抗癌剤とは全く異なる作用点を持ち、タイト結合分子の調整にも関与しているHDAC阻害剤に注目した。・ 研究計画・展望ヒト剖検材料、手術材料より分離培養した初代培養癌細胞および肺腺癌細胞株(A549)を用いて、HDAC阻害剤による肺腺癌に対する抗腫瘍効果のメカニズムを解明する。肺腺癌細胞株にてLSRの発現低下が2細胞間タイト結合claudinを誘導することを見出した。そして、いくつかのclaudin-2の肺腺癌の増殖調節機構の報告から、肺腺癌においてもLSRがclaudin-2を介して肺腺癌の増殖能の調節に関与している可能性が考えられた。肺腺癌細胞株に対して種々のHDAC阻害薬による処置を行うことにより、LSRおよびclaudin-2の発現の変化や局在の変化が起こることが確認され、HDAC阻害薬の抗腫瘍効果のメカニズムの一端にこれらの細胞接着分子が関連していることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件)
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