研究課題
若手研究
がんの食事療法といえば、民間療法やフェイクの類が大半である。しかし、最近、一部アミノ酸の摂取制限に腫瘍抑制効果があることが示されるなど、再注目されている。申請者らは、食事に含まれるあるビタミンの摂取制限が、マウス移植腫瘍モデルにて、代謝阻害による小細胞肺がんの治療効果を飛躍的に高めることを発見した。本研究では、食事介入が示す上記抗腫瘍効果の詳細な分子メカニズムを解明するとともに、この食事療法のフィージビリティを一層高めるための各種検討を行う。
NAD代謝は、古くから、がん治療標的としての開発が期待されてきたが、いくつかの障害があった。本研究では、NAD合成への依存が強い小細胞肺がん(SCLC)に対して、同代謝への干渉による治療の可能性を検討した。良好な体内動態を示す新規NAD合成阻害剤を用いることで、小細胞肺がん(SCLC)に対するNADターゲット治療の高い治療効果をマウス前臨床モデルで示した。この治療では、少なくとも現段階では、食事制限が重要であるが、十分に実現可能なものと結論した。
SCLCは肺がんの15-20%を占める高転移性の難治がんで、その治療は、この~20年根本的な進歩がない。理由の1つに、創薬可能なドライバー遺伝子変異がSCLCには存在しないことがあげられる。本研究では、NAMPT阻害剤とナイアシン摂取制限の併用治療のSCLCに対する非常に高い治療効果を動物実験にて確認した。この治療はSCLCのようながんに対して非常に選択性の高い治療であることが示唆された。必要となる食事制限期間も当初想定よりも短くて十分であることが確認できた。今後は、SCLC以外の神経内分泌分化を呈するがん種にも応用可能かを検討していく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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