研究課題/領域番号 |
20K17241
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
牧野 慎市 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40713649)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ユビキチン・プロテアソーム / オートファジー / アポトーシス / 酸化ストレス / ポドサイト / mTOR / 質量分析 / p53 / 老化 / オートファジ |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓の糸球体足細胞は血液蛋白の最終濾過機能を担っており、糸球体足細胞の障害はCKD進行の原因となる。我々は蛋白分解機構の一つであるユビキチン・プロテアソーム(UPS)の機能低下が、老化による糸球体足細胞障害の要因と考えている。本研究では、糸球体足細胞におけるUPSの役割、老化との関わりを明らかにし、CKD進行を抑制する化合物や治療標的分子を探索することを目的としている。糸球体足細胞特異的にプロテアソームを欠損したマウスを作成したところ、糸球体足細胞にユビキチン化蛋白が蓄積し、若齢から腎不全が進行した。このマウスを用いて腎不全抑制の化合物スクリーニングと蓄積蛋白の網羅的解析を行う計画である。
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研究成果の概要 |
ポドサイトのユビキチン・プロテアソームの役割を調べるためポドサイト特異的プロテアソーム不全マウス(pRpt3マウス)を作成した。pRpt3マウスは若齢で尿蛋白が出現し腎不全で死亡した。pRpt3マウスのポドサイトでは酸化ストレスによりp53を介したアポトーシスが誘導された。またpRpt3マウスのポドサイトではmTORの活性化によりオートファジーが抑制された。mTOR阻害剤であるrapamycinはpRpt3マウスの糸球体障害を改善した。ポドサイトに蓄積するユビキチン蛋白を質量分析で解析し、熱ショック蛋白、DNA修復蛋白、UPSとオートファジーのアダプター蛋白、細胞骨格関連蛋白などを同定した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、ポドサイトのプロテアソーム機能不全がポドサイト障害を来して慢性腎不全を進行させることが分かった。またポドサイトでは、プロテアソーム機能不全がmTORの活性化を介してオートファジー不全を引き起こすこと、mTORの活性化が糸球体障害を改善することを示した。プロテアソーム機能は老化に伴ってその機能が低下することが知られている。高齢者におけるCKDの病態として、加齢とともにポドサイトのプロテアソーム機能が低下し、これがポドサイトの老化と糸球体障害を来してCKDを進行させる機序が予想される。本研究により抗酸化剤やオートファジーの活性化剤は老化に関連したCKDの進行抑制の治療戦略となり得る。
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