研究課題/領域番号 |
20K17382
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河野 和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70776244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / CD38 / NAD+ / 代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
多発性骨髄腫は高齢化社会に伴い増加中の治癒困難な造血器腫瘍である。近年、骨髄腫細胞の表面に発現するCD38に対する抗体療法が多発性骨髄腫の治療法の一つとして確立されつつあるが、骨髄腫細胞の生存・増殖におけるCD38の意義は依然として不明である。CD38は1回膜貫通型の糖蛋白質であり、細胞内の代謝において重要な働きをするNAD+ (nicotinamide adenine dinucleotide)分解酵素である。申請者はCD38のNAD+分解酵素活性を阻害することで骨髄腫細胞の生存・増殖におけるCD38の意義を明らかにし、CD38の酵素活性を標的とした多発性骨髄腫の新規治療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
CD38陰性の多発性骨髄腫細胞で有意に高いNAD+/NADHを認め、骨髄腫細胞上のCD38が細胞内NAD+濃度に寄与することを明らかにした。CD38陰性骨髄腫細胞はCD38陽性骨髄腫細胞と比較して解糖系代謝経路が亢進しており、レナリドミドやボルテゾミブといった抗骨髄腫治療薬に対する感受性が低下していた。一方でCD38陰性骨髄腫細胞は解糖系阻害剤への感受性が高かった。CD38のNAD+酵素活性阻害は骨髄腫細胞に代謝変化、細胞増殖抑制、細胞死を誘導した。さらにCD38抗体薬の骨髄腫細胞に対する直接的作用にCD38のNAD+酵素活性が寄与していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗CD38抗体は多発性骨髄腫治療の中心的な薬剤と位置付けられている。しかしながら、CD38抗体併用の化学療法をもってしても多発性骨髄腫は治癒困難であるといった問題点も依然として存在する。我々は、CD38酵素活性を阻害し、骨髄腫細胞の増殖・生存への影響とその機序を解析することにより、CD38が抗体療法の標的表面抗原分子としだけではなく、低分子化合物による機能阻害の対象となりえることを明らかにした。さらに、CD38 の酵素活性阻害に伴う変化の解析を行うことで、多発性骨髄腫細胞における CD38 NAD 経路の役割、ひいては多発性骨髄腫細胞に特有な代謝経路の解明につながるものと考える。
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