研究課題/領域番号 |
20K17566
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
長崎 瑛里 日本大学, 医学部, 研究医員 (70845354)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 神経芽腫 / 栄養飢餓耐性 / 抗がん剤耐性 / TFAP2E |
研究開始時の研究の概要 |
神経芽腫の治療成績は集学的治療の発達により著しく改善したが、未だ抗がん剤耐性を示す症例が多く存在するため、その機序の解明と効果的な化学療法の確立が喫緊の課題である。申請者らがこれまでに神経芽腫の新規予後関連遺伝子として同定したTFAP2Eは、神経芽腫患者において低発現で予後が悪く、神経芽腫細胞でこの遺伝子の発現を抑制すると抗がん剤耐性増強とグルコース欠乏耐性増強の両者を示す。しかしその詳細な機序は不明である。 本研究では、TFAP2Eの発現抑制により神経芽腫細胞がグルコースを中心とした栄養飢餓耐性と抗がん剤耐性を獲得するメカニズムを解明し、TFAP2Eが神経芽腫の治療標的となりうるか検証する。
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研究成果の概要 |
これまでに研究代表者らは、神経芽腫においてTFAP2E低発現の患者は予後が悪く、TFAP2Eの発現抑制は抗がん剤耐性を増強させることを報告したが、本研究ではさらに、グルコース欠乏耐性も増強させることがわかり、その機序として神経芽腫細胞が低ATPに対する耐性を獲得している可能性が考えられた。また、TFAP2Eの標的遺伝子の候補としてSUSD2を同定し、SUSD2高発現の神経芽腫患者は予後が悪いことがわかった。SUSD2は他癌腫において抗がん剤耐性に寄与することが報告されていることから、神経芽腫においてTFAP2EがSUSD2を介して抗がん剤耐性を示し、予後の増悪に関与している可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
神経芽腫の治療成績は集学的治療の発達により著しく改善したが、進行期の神経芽腫では抗がん剤耐性を示す腫瘍細胞が多く存在する。本研究成果から、TFAP2Eの発現低下は栄養飢餓耐性と抗がん剤耐性の両者に関与することが示唆された。将来的には、TFAP2Eの発現を増強させる脱メチル化剤による治療法や、TFAP2Eの下流にある栄養飢餓耐性/抗がん剤耐性に関与する分子を標的とした新規治療薬開発に発展させ、予後の改善に寄与することが期待できると考えられる。
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