研究課題/領域番号 |
20K17586
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野口 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (70844364)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 移植免疫 / 腸管ディスバイオシス / 腸内細菌叢 / 歯周病 / 拒絶 / 皮膚移植 / 腎移植 / 腸管ディスバイオイシス |
研究開始時の研究の概要 |
移植した腎臓を長年活用するための生着率の向上には、拒絶反応のコントロールが重要である。拒絶反応が生じるメカニズムの一つとして、近年、腸内細菌叢に影響を与える歯周病と腎移植後拒絶反応との関連性を報告するReviewがある。 本研究では、①歯周病原細菌を経口投与して腸内細菌叢のバランスを変化(腸管ディスバイオシス)させたマウスに皮膚移植を行い、歯周感染症に起因する拒絶反応のメカニズムを明らかにする。また同時に②その細菌叢をプロバイオティクス投与により再度正常化させたときに得られる拒絶の抑制効果を検証・解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、人為的な歯周病菌誘導のマウス腸管ディスバイオシスモデル用い、腸管ディスバイオシスを惹起したマウスに皮膚移植を行い、腸管ディスバイオシスによる移植免疫への影響を調べる研究である。 方法であるが、マウスをPg投与する群(Pg群)と投与しないコントロール群の2群に分けPg群は6週間のPg投与を行い、コントロール群は6週間PBSを投与した。その後両群に同種異系皮膚移植を行った。Pg投与による腸内細菌叢の変化を評価するため、移植前の糞便中の腸内細菌叢解析と腸管代謝物である短鎖脂肪酸の測定を行った。また、移植前の血中と脾臓の制御性T細胞(Tregs)/CD4陽性T細胞比をフローサイトメトリーで測定した。さらにPgまたはPBSを6週間投与後に皮膚移植を行い、皮膚移植のグラフト生着日数を両群間で比較した。 結果は移植前の腸内細菌叢解析では、属レベルでPg群においてコントロール群と比較し4つの菌が有意に増加し、2つの菌が有意に減少していた。またPg群で増加した4つの菌のうち、3つが短鎖脂肪酸産生菌であった。短鎖脂肪酸産生菌の増加と一致し、Pg群において糞便中の短鎖脂肪酸の1つである酢酸およびプロピオン酸の濃度が有意に上昇していた (p = .040、 p = .005)。またフローサイトメトリーでは、Pg群において移植前の血中・脾臓のTregs/CD4陽性T細胞比の有意な上昇を認めた (p = .002、p < .001)。さらにPgまたはPBSを6週間投与後に同種異系皮膚移植を行ったところ、Pg群において移植した皮膚グラフトの生着日数の有意な延長を認めた ( p < .001)。歯周病菌投与による腸管ディスバイオシスは、腸管代謝物である短鎖脂肪酸の濃度上昇とTregs /CD4陽性T細胞比の上昇を介して、移植免疫に影響を及ぼす可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この結果を”Effects of periodontal pathogend inducued intestinal dysbosis on transplant immunity in allogenic skin graft model"というタイトルで論文投稿してScientific Reports誌に掲載された。 第122回日本外科学会や第35回バイオセラピー学会、Transplantation Science Symosium Asian Reginoal Meeitng 2022で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、歯周病による腸管ディスバイオシスの移植免疫への影響をラットの腎移植モデルで調べる予定である。
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