研究課題
若手研究
本研究の目的は、肝細胞癌に対する術前・術後補助療法としてのHSP70由来ペプチド+GPC3由来ペプチドと免疫アジュバンドであるsLAG3-IgとPoly-ICLCを用いたがんワクチン療法を行った患者の血液ならびに切除組織を用いて、リンパ球の機能を解析することである。腫瘍浸潤リンパ球の免疫染色と同時にマスサイトメトリーを行い、単一細胞を50種類以上の表面・細胞内マーカーで解析し、エフェクターT細胞、免疫チェックポイント分子の発現ならびに抑制性免疫細胞の解析を行う。
がんペプチドワクチン療法の方向性としては、免疫チェックポイント阻害剤との併用を視野に入れて、負の免疫応答の制御が必要になると考えられる。我々は、肝細胞癌(HCC)患者に周術期ワクチン療法を行い、切除標本の病理学的、免疫学的特徴について解析を行った。結果として、本ワクチン療法は、腫瘍抗原特異的T細胞(CTL)を腫瘍内に誘導し、免疫原性の低いcold HCCの一部をHotに変換する可能性がある。CD8+細胞上のチェックポイント分子(PD-1、TIGIT)の高発現を認めたことから、免疫チェックポイント阻害剤の併用は、相乗的に作用し高い抗腫瘍効果をもたらす可能性が示唆された。
本研究によって、がんワクチン療法は免疫原性の低いCold HCCが細胞傷害活性T細胞が浸潤するHotへ変化している可能性が示唆された。腫瘍浸潤細胞は免疫チェックポイント分子を高発現しているため、活性化が抑えられ十分な抗腫瘍効果を得られていない可能性がある。マウス腫瘍モデルを用いたワクチン療法と抗PD-1抗体の併用療法では、有意な抗腫瘍効果および生存期間延長効果を認めたことから、本ワクチン療法と抗PD-1抗体の併用は、相乗的に作用し高い抗腫瘍効果をもたらす可能性を示唆する学術的・社会的に意義ある成果を得た。
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