研究課題/領域番号 |
20K17623
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂本 悠樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (70867192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 大腸癌 / 肝転移 / 腸内細菌 / 腫瘍免疫 / Fusobacterium / 大腸癌肝転移 / サルコペニア |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌は腸内容物や腸内細菌叢、慢性炎症、免疫応答などによって分子生物学的プロファイルが異なると考えられており、腸内細菌が免疫老化や慢性炎症と相関し、大腸癌の発癌やサルコペニアの惹起に関与している可能性がある。プレバイオティクスやプロバイオティクスによる大腸癌やサルコペニアへ与える影響の報告はマウスモデルによるものに限られており、臨床応用のためにはヒトのサンプルを用いた解析が不可欠である。本研究はヒト大腸癌組織および臨床データをもとに腸内細菌が加齢や悪性疾患、それに伴うサルコペニアなどの変化と相関するメカニズムを明らかにすることを目標とするものである。
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研究成果の概要 |
大腸癌肝転移組織から抽出したDNAを用いて口腔内常在菌であるFusobacterium nucleatum (F. nucleatum)の存在解析を行い、腫瘍免疫との関連を評価した。 約4.5%にF. nucleatumが認められ、F. nucleatum陽性症例は腫瘍免疫を主に担当する細胞傷害性T細胞数が有意に少なく、その抑制に関与する骨髄由来抑制細胞が多く認められることを明らかにした。また細胞傷害性T細胞数が少ない症例は有意に肝切除後の無再発生存率が不良であり、F. nucleatum が大腸癌肝転移巣において腫瘍免疫を抑制し予後不良に寄与していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの研究でヒト口腔内常在菌であるFusobacterium nucleatum (F. nucleatum)が大腸癌の発育・進展を促進することが示唆され、肝転移巣にもF. nucleatumが認められることが明らかになった。今回の研究結果からF. nucleatum は大腸癌肝転移組織においても骨髄由来抑制細胞を介して細胞障害性T細胞を抑制し、予後不良に寄与していることが示唆され、この知見は腸内細菌を標的とした新たな大腸癌治療戦略の開発につながる可能性がある。
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