研究課題
若手研究
これまでの研究から、癌が悪性形質を獲得するにつれサイトカインの腫瘍内不均一性が生じ、分化Tリンパ球の局在現象が起こりうる可能性に着想した。本研究ではこのメカニズムを検討し、予後への影響を探る。教室で保有する100例以上の胆道癌血液検体・切除標本を用いて分子生物学的解析を行うとともに、癌細胞とヒトリンパ球を用いたin vitro/in vivoで細胞/動物実験で検証する。固形癌における免疫応答の不均一性に関しては未解明な点が多い。この分野での研究が進めば癌進展の機序解明に寄与し、免疫を生かした新規治療の開発を担えると考える。
胆道癌では、IL-6とTGFβが相互刺激し、化学療法抵抗性や癌転移が誘導される。一方、炎症組織では、同サイトカインによって不均一にTリンパ球の分化を誘導するため、癌の進行に伴いサイトカインの腫瘍内不均一性が生じ、分化Tリンパ球の局在現象が起こりうる。このメカニズムを検討した。胆道癌切除検体を用いて、IL-6、TGFβの染色状況と局在、浸潤リンパ球のサブタイプを染色すると、サイトカイン局在とリンパ球浸潤局在に関連があり、切除後の予後が異なることが明らかとなった。in vitroでは、浸潤株と同様な特徴を持つ、化学療法抵抗株を樹立し、未分化T細胞と共培養すると、親株と異なるT細胞分化が認められた。
胆道癌におけるリンパ球の腫瘍内局在を検討した初めての研究であり、分化T細胞の局在により予後が異なることを初めて示した。さらに、in vitroでその現象を確認した。胆道癌における薬物療法では、免疫チェックポイント阻害剤が効果的であるため、今後こられの知見が治療法の選択に役立つ可能性がある。薬物療法では、免疫チェックポイント阻害剤を1次治療に用いる方法と2次治療に用いる方法と考えられるが、in vitro実験の結果からは,同等の治療成績が得られる可能性がある。
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