研究課題
若手研究
熊本大学消化器外科では年間500例以上の消化器癌手術が行われ、600例以上の肝癌切除例の切除標本が凍結組織、パラフィン包埋組織として管理されている。さらに手術のみならず、患者背景、腫瘍因子、手術因子、化学療法、生活背景、予後がデータベースに管理されている。本研究では多数例のヒト非B非C型肝細胞癌組織中の細菌叢や腸内細菌叢を網羅的に解析し、臨床データと組み合わせて解析することで非B非C型肝細胞癌の進展や抗腫瘍免疫応答に関わる細菌の同定を試みる。さらにマウスモデルを用いて、そのメカニズムを解明する。本研究結果は細菌を標的とした非B非C肝細胞癌に対する新たな治療法の開発につながることが期待される。
肝臓は門脈血流を介して腸内細菌にさらされ、T細胞、マクロファージ、NK細胞など多くの免疫細胞が存在する。申請者らは大腸癌肝転移巣に細菌Fusobacterium nucleatumが存在すること、大腸癌肝転移巣にFusobacterium nucleatumが検出された症例は腫瘍内に浸潤するCD8陽性T細胞が有意に少ないことを明らかにした。本研究により、肝細胞癌組織中に好中球、T細胞、マクロファージが存在し、肝細胞癌組織中に好中球やマクロファージが多く存在する症例は予後が不良であり、逆にCD8陽性T細胞が多く存在する症例は良好な予後と関連することが明らかとなった。
肝細胞癌は、本邦はもちろん国際的に罹患数・死亡数が多い癌で、予後不良の疾患である。近年本邦において 肝炎ウイルス感染を伴わない肝細胞癌が増加している。本研究により、肝細胞癌組織中の免疫細胞が肝細胞癌の発育進展に重要な役割を果たしていることが明らかとなり、本研究の成果は細菌を標的とした非B非C型肝細胞癌の新たな治療法の開発のための有益な情報となることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 3件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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