研究課題/領域番号 |
20K17732
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中尾 英智 久留米大学, 医学部, 助教 (80869545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 大動脈解離 / IgG / フィブリノーゲン / 内皮細胞 / 細胞老化 / B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では解離病態における液性免疫系の役割を明らかにする。解離IgGとその抗原を同定し、急性期(解離発症に関わる炎症惹起)と慢性期(破壊進行に関わる慢性炎症)における機能を明らかにする。病態的意義としては、急性期および慢性期の解離IgGが同定されることで、炎症の惹起と維持のメカニズムが明らかになる。臨床的意義としては、抗体は血液中で検出可能であるため活動性のモニタリングが可能になり、予後予測にも応用できる。予後予測に基づいた介入時期の判断や、治療法の効果モニタリングへの応用が期待される。さらに、病態を左右する解離IgGは治療標的になると期待される。
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研究成果の概要 |
申請者らはこれまでに、正常大動脈組織ではみられなかった免疫グロブリン(IgG)が、大動脈解離組織では局所に沈着し、IgG投与で解離による破裂死が促進されることを発見した。また、血管内皮機能の低下及び炎症応答に細胞老化が関与しているとの報告から、細胞老化による血管内皮バリア機能低下が大動脈壁へのIgGが沈着を来たし、液性免疫及び老化細胞による炎症応答が解離増悪に関与するという仮説を着想した。解離大動脈組織には内皮細胞を初めとする種々の老化細胞を認め、老化細胞除去薬(ABT263)投与により解離重症化及び破裂死が抑制された。遺伝子解析ではABT263投与により、免疫応答及び炎症応答が抑制された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大動脈解離の分子病態は未だ不明な点も多く、発症予測、予防、発症後の進展予防の開発のために病態解明が急がれる。近年、動脈硬化や心不全を初めとする様々な疾患における細胞老化の関与が注目されており、老化細胞に対する治療薬やワクチンの研究も進められている。本研究において、老化細胞が解離増悪に寄与しており、さらに炎症応答及び免疫応答に関与することが示唆された。老化細胞による解離増悪メカニズムが解明されることで、将来的に臨床現場において解離増悪を抑制する治療として応用できる可能性が期待される。
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