研究課題/領域番号 |
20K17738
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小林 さやか 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (80765694)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 肺腺癌細胞株 / RNA抽出 / micro RNA / EGFR遺伝子変異 / KRAS遺伝子変異 / フォイルゲン染色 / エメリンの免疫染色 / ラミンAの免疫染色 / 画像解析 / 核所見の連続変数データ / 各種種蛋白発現の陽性率 / ラミンB1の免疫染色 / 臨床病理学的所見 / 各種蛋白発現の陽性率 / 核の形状変化 / ドライバー遺伝子異常 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の形態を顕微鏡でみて、癌細胞の有無を診断するには核の形態が重要であるが、核の形態は様々であり、非癌細胞か癌細胞か判断するのにしばしば苦慮することがある。他方では発癌や癌の悪性化の原因となる遺伝子であるEGFR, KRAS, ALK, p53といった遺伝子異常が報告されている。本研究では、まずは手術によって採取された癌の組織の形態をデジタル画像化し、画像解析ソフトによって核の大きさ、形のゆがみの程度、色の濃さ等の特徴を数値として計測する。この計測データと各々の遺伝子異常の有無のデータを比較し、各々の遺伝子異常によって核の形状に特徴があるのか、あるとしたらどのような特徴かを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肺腺癌組織切除検体から遺伝子異常を検索し、遺伝子異常ごとの核の形状の特徴を画像解析手法によって明らかにすることである。補助事業期間延長承認申請および昨年度の研究実施状況報告書の研究の推進方策では、令和4年度前半にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからのDNA抽出、EGFR, KRAS遺伝子の変異部位を遺伝子増幅させ、その増幅産物から塩基配列を決定させ、両遺伝子の変異配列の有無を検索する計画であった。しかしEGFR, KRAS遺伝子変異の有無をある種のmicro RNAの発現量により予測することが可能であるという論文を発見し、当初計画の手技は比較的煩雑で時間も長く要することから、当初の手技ではなくmicro RNAによる両遺伝子変異の予測によって対象症例を変異群と非変異群に分類し画像解析結果の対比を行うこととした。 そこで、まず当研究室が所有する肺腺癌細胞株9株のうち、EGFR, KRAS変異が不明である7株についてRNA抽出し、シークエンスの受託サービスにより両遺伝子変異の有無を検索した。これにより変異状態が不明であった細胞株の変異状態が明らかとなり、これらの細胞株を用いてmicro RNAの発現量が両遺伝子変異状態を反映しているか確認できるため意義深い。またこれらの細胞株を用いてmicro RNAの抽出法も検討し決定した。そして現在、両遺伝子の変異状態が明らかとなった細胞においてmiR-1253, 504, 26a-5p, 21, 594-5p, 594-3pの発現量を検索している。これらのmicro RNAの候補は、EGFR、KRAS遺伝子の変異状態を反映している可能性があるため、細胞株で両遺伝子の変異状態を反映していることが確認できれば、FFPEブロックを対象とした両遺伝子変異の検索の結果に信頼性が増すため意義深い。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度前半にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからのDNA抽出、EGFR, KRAS遺伝子の変異部位を遺伝子増幅させ、その増幅産物から塩基配列を決定させ、両遺伝子の変異配列の有無を検索する計画であった。しかしEGFR, KRAS遺伝子変異の有無をある種のmicro RNAの発現量により予測することが可能であるという論文を発見し、当初計画の手技は比較的煩雑で時間も長く要することから、当初の手技ではなくmicro RNAによる両遺伝子変異の予測によって対象症例を変異群と非変異群に分類し画像解析結果の対比を行うこととした。 まずは当研究室で所有する細胞株の変異状態を明らかにし、細胞株を用いてmicro RNAが両遺伝子の変異状態を反映するか確認する必要があったため、令和4年度中にFFPEブロックを対象としたEGFR, KRAS遺伝子変異の検索は行えなかった。しかし現在、細胞株におけるmicro RNAの発現量は一部計測できており、micro RNAが両遺伝子の変異状態を反映していることが確認でき次第FFPEブロックを対象とした両遺伝子変異の検索を行うことができるため、少しの遅れは取り戻すことができると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長承認申請および昨年度の研究実施状況報告書の研究の推進方策では、令和4年度前半にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからのDNA抽出、EGFR, KRAS遺伝子の変異部位を遺伝子増幅させ、その増幅産物から塩基配列を決定させ、両遺伝子の変異配列の有無を検索する計画であった。しかしEGFR, KRAS遺伝子変異の有無をある種のmicro RNAの発現量により予測することが可能であるという論文を発見し、当初計画の手技は比較的煩雑で時間も長く要することから、当初の手技ではなくmicro RNAによる両遺伝子変異の予測によって対象症例を変異群と非変異群に分類し画像解析結果の対比を行うこととした。 現在、細胞株におけるmicro RNAの発現量は一部計測できているため、micro RNAが両遺伝子の変異状態を反映していることが確認でき次第FFPEブロックを対象とした両遺伝子変異の検索を行うこととする。核の形状の画像解析結果は既に得られているため、EGFR, KRAS遺伝子変異の有無が検索出来れば、変異群と非変異群での核の形状の特徴が明らかとなり、これらの研究成果を論文として執筆し投稿する。
|