研究課題/領域番号 |
20K17863
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川端 修平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20764062)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | くも膜下出血 / 早期脳損傷 / 腸内細菌 / 急性脳損傷 / early brain injury / SAH |
研究開始時の研究の概要 |
重症くも膜下出血(SAH)は予後不良であり、その主因は急性脳損傷(EBI)によるとされる。EBIの病態は解明されつつあるが、治療法は確立されていないため、SAHの治療成績の向上には、重症化を防ぐ必要がある。さて、脳梗塞やてんかんなど多くの脳疾患で腸内細菌叢の変化が予後改善に寄与したとの研究報告が近年相次いでいる。これらとSAHは酸化ストレス、炎症・免疫反応など多くの病態生理を共にしているため、SAHの研究に応用できる可能性がある。このような背景のもと、腸内細菌叢がSAHによる脳損傷の病態に関与し、腸内細菌叢を修飾することで、SAHの予後が改善するという仮説を検証することを本研究の目的とする。
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研究成果の概要 |
早期脳損傷(EBI)はくも膜下出血(SAH)発症後早期に発生し、SAHの予後に大きな影響を与えている。今回、我々は腸内細菌叢を事前に変化させることでSAH後のEBIを予防できるかを検証した。多剤抗生剤を投与し、腸内細菌叢を変化させたラット(抗生剤群)と正常群にSAHを導入し、両群のEBIを比較したところ抗生剤群で有意な軽減を認めた。 さらに抗生剤群では炎症細胞の脳内への浸潤が阻止されていた。これらの予防効果は、正常な細菌叢を再コロニー化することで消失した。以上の結果から、腸内細菌叢が炎症細胞を制御することでSAH後のEBIに影響を与えることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
EBIはSAHの予後に大きな影響を与えているものの、有効な治療法が未だ確立していない。本研究では、腸内細菌叢が炎症細胞を制御することでSAH後のEBIに影響を与えることを明らかにした。今後、EBIを予防するために腸内細菌叢を調整することが新たな治療戦略となる可能性が示唆され、SAHの予後を改善させる上で意義のある研究と考える。
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