研究課題/領域番号 |
20K17917
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 正芳 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10867857)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 膠芽腫 / NKT細胞 / iPS-NKT / 抑制性免疫 / 養子免疫療法 / 神経膠腫 / 複合免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫患者に対してNKT細胞を用いた新規免疫治療法を確立することを目的に、患者の末梢血及び手術によって摘出された腫瘍検体を用いて、Natural Killer T細胞(NKT細胞)を中心とした抗腫瘍免疫反応の作用機序を解明する。さらにマウス膠芽腫モデルを用いて、NKT細胞投与による免疫治療を中心とした複合免疫療法の確立を目指す。また、抗腫瘍活性が高いNKT細胞の供給源となりうるiPS細胞由来NKT細胞(iPS-NKT)を用いた免疫療法の有効性について検討する。マウス膠芽腫モデルでの免疫治療用細胞の投与量や投与経路などのエビデンスを確立し、膠芽腫に対する新規免疫治療法として臨床研究へ応用する。
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研究成果の概要 |
本研究では、神経膠腫患者の末梢血及び腫瘍切除検体を用いた腫瘍浸潤免疫細胞の解析の結果、膠芽腫患者はコントロール群(非担癌患者)と比較して、末梢血中の抑制性免疫細胞集団が増加傾向であったのに対し、T細胞は有意に減少していたが、Natural Killer T(NKT)細胞に変化は認めなかった。さらに、膠芽腫患者における腫瘍切除検体の腫瘍浸潤リンパ球には疲弊した T 細胞が含まれていたが、NKT 細胞はほとんど認めなかった。次に同所性ヒト膠芽腫マウスモデルを作成して、in vitroで調製したヒト末梢血由来NKT細胞を頭蓋内投与した結果、T細胞の存在下では生存期間の延長と腫瘍増大抑制効果を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膠芽腫は、標準的治療でも生存期間の中央値は約15か月と非常に予後が悪く、新規治療法の開発が喫緊の課題である。本研究で膠芽腫患者は免疫抑制状態にあるが末梢血のNKT細胞数は保たれており、腫瘍微小環境で疲弊しているT細胞は確認されたがNKT細胞は認めなかった。このことから、NKT細胞の細胞傷害活性を期待し、膠芽腫マウスモデルに対し、NKT細胞を用いた養子免疫細胞療法を行ったところ、T細胞の存在下で抗腫瘍効果が認められた。この研究結果は、実臨床を目指すためにNKT細胞の質と供給量を確保するための供給源となりうるiPS細胞由来NKT細胞 (iPS-NKT) を用いた養子免疫療法の足掛かりとなる。
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