研究課題/領域番号 |
20K17934
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 中 九州大学, 大学病院, 助教 (90452755)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 頚動脈狭窄症 / 流れずり応力 / Noxファミリータンパク質 / NADPH oxidase |
研究開始時の研究の概要 |
頚動脈狭窄症による脳梗塞の主な原因は不安定なアテローム性プラークの破綻であり、これに流れずり応力が関与していることが報告されており、このメカニズムにNoxファミリータンパク質が関与している可能性がある。本研究の目的は、流れずり応力に伴う頚動脈プラークの不安定化や破綻におけるNoxファミリータンパク質との関係を解明し、これを予防するための新たな治療法を開発することである。方法としては培養内皮細胞に対する流れずり応力負荷、マウス頚動脈狭窄モデルおよび頚動脈狭窄症手術患者のプラーク標本を用いたNoxファミリータンパク質の発現解析を行い、マウス頚動脈狭窄モデルに対しNox阻害薬を投与する。
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研究成果の概要 |
培養血管内皮細胞においてNox4のmRNA発現は層流と比較して乱流において有意な上昇を認めた。Nox4のknock downを行うとMCP-1のmRNA発現が上昇した。内皮細胞を高血糖下に培養すると、Nox4は定常状態ではグルコース濃度の上昇に応じてmRNAの発現上昇を認めたが乱流負荷時はこの変化は緩やかであった。一方MCP-1は定常状態ではグルコース濃度に伴う発現の変化は認めなかったが乱流負荷後はグルコース濃度に伴う発現の上昇を認めた。これらの結果からNox4は頚動脈において乱流がある部位でのMCP-1の発現上昇に伴う炎症抑制作用があり、高血糖下ではこの効果が減弱する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳動脈瘤における先行研究において、我々は流れずり応力によるNox4の変化が、血管壁における炎症を抑制し保護的に作用する可能性を示したが、本研究においても同様の結果が得られ、頚動脈狭窄におけるプラーク破綻に対し、Nox4が抑制的に働く可能性が示唆された。またこの血管炎症抑制効果は高血糖など動脈硬化の危険因子がある際に、減弱する可能性も示唆された。動物モデルにおいてこれを支持するデータは得られなかったが、Nox4を賦活することによる脳梗塞予防効果を目指した新規治療法が期待される。
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