研究課題/領域番号 |
20K18079
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
松浦 孝紀 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90821679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | オキシトシン / 炎症性生理活性物質 / LTP / LTD / NO / MMP / 慢性疼痛 / 炎症性サイトカイン / 骨代謝産物 / 視床下部ペプチド / 長期増強 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛において、大脳辺縁系を含む中枢神経系の変化は情動面の恐怖や不安という感情にも関与しており重要であるとされている。本申請課題では、末梢組織から放出される骨代謝産物ならびに炎症性サイトカインならびにマトリックスプロテアーゼ (MMP) のような炎症性生理活性物質と大脳辺縁系における神経細胞の可塑性ならびに下行性疼痛抑制系との関連について分子基盤を解明すると同時に、これらの生理活性物質における生体逃避反応について、ホールセル・パッチクランプ法ならびに行動学を用いて解明することを目標とする。
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研究実績の概要 |
近年鎮痛作用を有するとされる視床下部オキシトシン(oxytocin; OXT)に改変赤色蛍光タンパク1を標識したOXT-monomeric Red fluorescent Protein 1 (mRFP1) トランスジェニックラットを用い、ホールセル・パッチクランプ法により細胞内から電気記録している。 2020年度は、炎症性生理活性物質のマトリックスプロテアーゼ (MMP)の薬理学的作用について検討し、pairing-protocolの電気刺激におけるLong-term potentiation(LTP)は、MMP-3 inhibitor UK 356618投与下では、誘発されないことを確認した。MMP-3は関節リウマチの活動指標とされる炎症性生理活性物質の一つである。 2021年度は、関節リウマチのモデルのアジュバント関節炎ラットのOXT-mRFP1ニューロンにおいて、LTPが誘発されないことを確認し、また電気刺激であるpairling-protocolでのLTPは、パッチしたOXT-mRFP1ニューロンでのpost-LTPであることを明らかにした。OXT-mRFP1ニューロンにおけるpost-LTPは、アジュバント関節炎ラットの視床下部OXT-mRFP1ニューロンの変化と捉えることが出来ると考えており、そのメカニズムを調べることは、炎症活性物質の細胞内シグナリングを検討することにつながる。 2022年度は、OXT-mRFP1ニューロンでのLong-term depression(LTD)についても検討した。つまりオキシトシンニューロンが抑制時のメカニズムを検討である。いくつかの刺激プロトコールを検討した結果、1Hz, 300回, (細胞内に)-40mVの刺激を与えることで、OXT-mRFP1ニューロンにおいてLTDを引き起こすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オキシトシンニューロンにおいてLTP・LTDの誘発されることが明らかになり、現在はこれらと炎症性物質の関係性について評価することが、最優先であると考えている。やや当初の内容とは方向転換が必要であったが、今後実験をすすめていく上で重要である。これまで内容については、国際論文に投稿しており、リバイス中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き骨炎症性生理活性物質の薬理学的作用とそのメカニズムについて検討していく。また現在投稿している国際論文のリバイスで追及された内容については、追加実験として、同時に検討を行っていく予定である。視床下部オキシトシンニューロンのLTP/LTDのメカニズムを検討することで、炎症性生理活性物質と生理的鎮痛作用の機能連関のメカニズムを明らかになると考えている。
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