研究課題/領域番号 |
20K18149
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
加藤 大貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00620931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | セルトリ細胞 / 精子幹細胞 / 血液精巣関門 / 男性不妊 / 停留精巣 / Claudin 11 / 発生・分化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、精子形成障害モデルとして停留精巣を用い、血液精巣関門を形成するセルトリ細胞の機能を解析することで精細胞の分化障害の原因を解明することを目的とする。不妊治療という観点からヒトへの臨床応用を考えたとき、精子の源となる精細胞への遺伝子操作は適切ではない。一方、精子形成の足場となるセルトリ細胞を誘導することで精細胞の分化を促すことが可能になれば、生命倫理の問題を克服できる。1細胞RNA-sequenceの技術を用いて停留精巣モデルにおけるセルトリ細胞の機能解析を行い、血液精巣関門の形成に関わる因子を解明し、血液精巣関門をターゲットにした精細胞の分化異常を克服する新規治療に発展させる。
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研究実績の概要 |
不妊カップルは5組中1組を占め、原因の半数は男性側の要因である。不妊治療が昨春から保険適用となったが、男性不妊の70%は原因不明の特発性である。精巣生検を行うと、精巣内で精子を作る過程である段階を境として突然に成長を停止するmaturation arrest(MA)であり、現在、有効な治療法がない。 停留精巣は小児泌尿器科領域でもっとも頻度の高い先天異常疾患であり、将来男性不妊になることが問題である。私たちは非外科的停留精巣モデル動物の作成に成功した。その停留精巣組織はMAで、私たちは、MAが原因で停留精巣患者が男性不妊に至ると考えている。 MAをきたす原因はまだ明らかにされていないが、精細管内に存在するセルトリ細胞の機能低下が一因であると考えて、研究に取り組んでいる。 セルトリ細胞は、精子形成の足場となる体細胞で、局所でのホルモン分泌や細胞間接着の成立を介して精子形成細胞の正常な分化をサポートする。昨年、基礎研究では期待した成果を得られなかったが、停留精巣のセルトリ細胞機能に関して臨床研究の進捗があり、報告する。停留精巣患児(片側122例、両側 23例)を対象として、停留精巣の精巣生検組織とセルトリ細胞機能を反映する血清ホルモン値の関連を調べた。生後2歳以下の両側停留精巣患児のうち、セルトリ細胞機能が低下している症例では、精子形成細胞数が有意に少なく、将来男性不妊をきたすハイリスク群になり、血清ホルモン値によって造精機能障害リスクの層別化ができることをJournal of Urologyに発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ感染の蔓延、所属科の人員削減により病院での臨床業務が大幅に増大し、基礎研究に時間を割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ラット停留精巣をsingle cellに分散することができず、single cell RNA sequenceができなかった。次策として核抽出の技術を用いる。シングルセルATAC-seqの手法に切り替え、ゲノムワイドでオープンクロマチン構造を選択的に検出、細胞個々の転写動態を同定しする。正常精巣と比較して、造精機能障害に関わる遺伝子制御ネットワークの解明を行う。
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