研究課題
若手研究
低出生体重児として産まれた女性は、成長後の妊娠時に早産、低出生体重、妊娠高血圧などの合併症リスクが高いとする報告が散見されている。しかし先行研究の数は多くなく、特に2000g未満、1500g未満といった体重で出生した女性を対象とした報告はない。本研究では申請者の所属施設初診時の問診を参考にして2000g未満や1500g未満といった小さい体重で出生した妊婦を中心にリクルートを行い、自身の出生時母子手帳データを提供してもらうことで、低出生体重児における「世代を超えた悪循環 (Trans-generational vicious cycle)」を検証する。
本研究では低出生体重児として出生した女児を対象として、成長し妊娠した後のアウトカムへの影響に関しての調査を行った。1500名の内、71名が低出生体重児であった。低出生体重児として出生した女児と非低出生体重児として出生した女児では、妊娠アウトカムに有意な相違を認めなかった。また、妊婦自身が胎児だったときの母親の妊娠経過と現在の母親の健康状態についての関連を見たところ、妊娠中に尿糖が出ていると将来の糖尿病が、蛋白尿が出ていると将来の腎疾患が、血圧が軽度上昇(収縮期血圧130台)では将来の高血圧のリスクが高かった。また、妊娠中の体重増加が多いと将来の糖尿病のリスクが高いことも明らかにした。
本研究では、症例数によるリミテーションがあるものの、2000g未満で出生した女性における将来の妊娠時の合併症リスクは、有意に上昇していなかったことを明らかにした。先行研究では体重が小さく生まれた女児は妊娠時の合併症リスクが上昇することが明らかにされており、非常に小さな体重で生まれた女性については大きなリスクとなることが懸念されたが、それほどではないことが示唆された。また、本研究の副次的解析で妊娠中に尿糖・尿蛋白が出現していた妊婦や血圧が軽度上昇していた妊婦は、将来の糖尿病や腎疾患、高血圧のリスクとなることが明らかとなり、妊娠中の各種検査は将来の疾病のリスクを予測できることが明らかとなった。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件)
Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
巻: 49 号: 5 ページ: 1335-1340
10.1111/jog.15615
Archives Gynecologic Obstetrics
巻: 5 ページ: 1397-1405
Journal of Epidemiology
巻: 32 号: 4 ページ: 168-173
10.2188/jea.JE20200302
130008024174
巻: 49 号: 2 ページ: 641-648
10.1111/jog.15497
International Journal of Gynecology & Obstetrics
巻: - 号: 2 ページ: 420-426
10.1002/ijgo.14122
PLOS ONE
巻: 16(5) 号: 5 ページ: e0251734-e0251734
10.1371/journal.pone.0251734